柔道の東京五輪代表に落選した選手たちが2日までに、自身のSNSを更新し、心境を吐露した。

男子73キロ級で17年世界王者の橋本壮市(28=パーク24)は、16年リオデジャネイロ五輪金メダルの大野将平(28=旭化成)に敗れ、「今の気持ち」として複雑な思いを打ち明けた。「4年前のリオ五輪で優勝する『大野選手』を目の前で観て、次の五輪は自分が優勝すると心に誓いました。夢から目標に変わった瞬間でした。それから、沢山の国際大会を経験し、五輪以外の大会は全て優勝し、世界ランクも何度か1位になり現在も1位です。けど、五輪最終選考の前に内定が出て、直接対決することなく五輪が決まってしまいました。今の気持ちは正直言うと直接対決したい。自信があるから。五輪で優勝できる自信があるから本当に悔しい。ただ、これまでの4年間に後悔はない。自分で言うのはおかしいかと思うが想像を絶する努力、厳しいことやってきた。リオ五輪が終わってから、自分の持っている力を全て出してきた。4年間『井上康生』監督と戦えて幸せでした。心強かったです。僕の戦いは終わりません」。

男子100キロ級でリオ五輪銅メダルの羽賀龍之介(28=旭化成)は、この4年間を振り返り、日本代表に敬意を表した。「五輪が僕の人生の全てじゃない。五輪が僕の全て。という2つの感情がいったりきたりしている。リオが終わってから五輪でしか自分のモチベーションを作れなかった。4年間の間に勝負に必要な負けん気、相手に勝つという強い気持ちを失った時期もあった。肩のけがをして手術、リハビリの日々もあった。結婚して子供が生まれて覚悟が変わった。それでも勝てない時もあった。選考は一発勝負の記録種目でない限り、いろいろな人がいろんなことを思うだろう。『ここで勝つ』『ここで負ける』。それがどう(選考に)つながるなんて戦っている僕らが一番分かっている。沢山の人に応援してもらい支えてもらい、その人たちを裏切ってしまう形になってしまったことが本当に申し訳ない。今の柔道日本代表は、最強かつ最高のチームです。自国開催である東京五輪で、それを証明してほしい。応援します」。

男子60キロ級で、リオ五輪銅メダルで東海大の先輩の高藤直寿(26=パーク24)に敗れた永山竜樹(23=了徳寺大職)は「五輪代表になれませんでしたが、これからも自分らしい一本を取る柔道をしていくので変わらず応援してくれたらうれしいです! 代表になった選手を素直に応援しましょう!」と呼び掛けた。

全日本柔道連盟は2月27日、東京・講道館で強化委員会を開き、男女12階級の五輪代表を決めた。代表選手の準備期間確保を重視した「3段階」による早期内定制度を初導入し、今回が「2段階目」となった。強化委員会後、男子代表の井上康生監督(41)は記者会見で「今はぎりぎりで落ちた選手の顔しか浮かばない…」と声を詰まらせながら橋本や羽賀ら各階級の2、3番手選手の名前を1人1人挙げて涙していた。