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Saturday, June 6, 2020

死ぬかと思った……「対向車が来たら終わり」恐怖の“酷道157号”を知っていますか? - auone.jp

 20年前、念願の運転免許を取得した私は、レンタカーを借りて、初めてのドライブに出掛けた。当時、レンタカーにカーナビなどついていなかったので、買ったばかりの道路地図を広げながら、少し遠くへ出かけようと計画を練ったものだ。

【画像】「危険・落ちたら死ぬ!!」国道157号で見つけた怖すぎる看板

 車線変更が怖いので、交通量の多い道は避けたい。かといって、センターラインが無いと不安だ。悩んだ末、岐阜県在住の私は、岐阜県と福井県を結ぶ国道157号を初めてのドライブコースに選択した。山間部なので交通量が少なく、国道だからどんなに悪くても2車線はあるだろうと考えたのだ。

初ドライブに選んでしまった国道157号

「落ちたら死ぬ!!」と書かれた看板

 当日、私は不安と期待に胸を膨らませつつ、恐る恐る車を走らせた。岐阜駅前から国道157号を北上しはじめる。市街地を離れ、郊外も過ぎると、まずはあっけなくセンターラインが消えた。どんなに悪くても2車線はあるはず……。そんな国道のイメージは、早々に崩れ去った。

 だが、初ドライブの身としては、Uターンするのも怖かった。「国道なんだから、この先で、またいい道になるはず」。そう自分に言い聞かせ、どんどん進んでしまったのだ。

 だが、それが大きな間違いだった。出発から2時間後、私が辿り着いたのは、ハンドル操作を誤ったら真っ逆さまに落下してしまうような絶壁の上。その入り口には、「危険 落ちたら死ぬ!!」と書かれた看板が置かれていた。それを目にした瞬間、私はあまりの恐怖に固まってしまった。ここは国道じゃないのか。私は一体、どこで間違えてしまったのか――。

時に生命の危険すら感じる“酷道”

 どこへ出かけるにも、必ず必要なのが道路だ。道がない原野でも、人が歩けば“獣道”が出来る。これが道路の起源とされている。現代では、都道府県道、市町村道、農道、林道、それ以外の里道、はたまた地図に載らないあぜ道など、実に様々な道路がある。そんな数々の道路の最高峰に君臨しているのが、国道だ。

 国道は経済産業の発展に大きく貢献するなど、日本にとって欠かせない存在であることから、国が指定し整備を行ってきた。国道には2種類あり、1つは高速自動車国道、いわゆる高速道路だ。もう1つが一般国道で、例えば国道1号は東京の日本橋と大阪の梅田を結び、随所に高規格なバイパスが整備されている。さすが“国”の名を冠した最高峰の道路だといえるだろう。

 しかし、そんなイメージとは裏腹に、全く整備が進んでいない国道がある。対向車とすれ違うこともできず、路面には落石が転がり、時として生命の危険を感じる……。そんな酷い状態の国道のことを、親しみを込めて“酷道”と呼ぶ。

道幅は狭く、ガードレールもない

 今ではすっかり酷道の魅力に取りつかれてしまった私も、最初の出会いは最悪なものだった。初ドライブに選んだ国道157号が、まさに酷道だったのだ。「危険 落ちたら死ぬ!!」の看板を見た時、私は心の底から恐怖を感じた。落ちなくても、その恐怖だけで死ぬかと思った。

 Uターンする勇気もなく、「もう少し行けばいい道になる」という期待も捨てきれなかった私には、前に進むという選択肢しかなかった。その看板を過ぎると、左側からは山の斜面がせり出し、右側には崖下の光景が広がる……という状況に陥った。

 ガードレールはなく、谷底からの高さは数十メートルあるだろう。道幅も狭く、想像したくもないが、対向車が来たらどちらかが延々とバックしなければならない。

道路上を流れる川を越えて……

 人間は極度に緊張すると、本当に手のひらに汗が滲んでくる。名実ともに手に汗握るドライブとなった。結局、幸いにも対向車は1台もこなかったので、私は何とか死なずに済んだ。だが、その後も“洗い越し”と呼ばれる「道路上を流れる川」を渡るなど、数々の難所を乗り越えながら、死にもの狂いでドライブした。

 楽しい思い出になるはずが、こんな決死の体験になるなんて、全く想像もしていなかった。峠を越えて福井県に入り、数時間ぶりに民家が見えた時には、あまりの安堵感から気が抜けて、駐車場で爆睡してしまった。

 だが、そんな凄惨な初ドライブから月日が経ち、運転にも自信がついてきた頃、私は酷道へのトラウマを克服するため、国道157号にリベンジすることにした。

 すると意外なことに、心に余裕を持って走ってみたことで、初めて気づくことが多かった。国道のもつイメージとのギャップ、深い谷や切り立った崖、緑生い茂る豊かな自然など、多くの魅力がそこにはあった。きっと全国を探せば、他にも酷い国道があるのではないか。こうして、私は酷道を求めて日本中を旅するようになっていった。

 そもそも、なぜ酷道などというものができるのか。実は、国道制度ができたのは明治時代のことで、当初は自動車の通行が想定されていなかったのだ。やがてモータリゼーションが起こり、自動車に合わせた道路整備が進められていくのは、それから100年近く後になってのことだ。しかし、需要の少なさや地形の問題などから、今なお整備が進んでいない路線もある。そうした時代の波に取り残された国道こそが、酷道なのだといえるだろう。

国道なのにまさかの階段!?

 今やトンネル1本で峠を越えられる便利な時代になったが、あえて酷道を走り、往時の苦労を偲びながら、時間をかけて難所を越えてみるのも決して悪いものではない。旅の趣というのは、そういうところにもあるのではないだろうか。

 しばらく全国の酷道を走っていると、その中にも色々なパターンがあることに気付いた。国道157号の山道的な酷道が王道だと言えるだろうが、他にも住居が密集しているため拡幅ができない“市街地型酷道”や、観光のシンボルとして階段が国道指定されたまま残されている“観光酷道”などがある。

夜間しか車が通れない“酷道”とは?

 市街地型の究極ともいえる酷道は、大阪と長崎にそれぞれ存在している。どちらも国道の一部が、なんと商店街のアーケードになっているのだ。

 大阪の八尾市から国道170号を北に向かって走ると、沿道に建ち並んでいた住宅が、徐々に商店に変わってくる。東大阪市に入ると、ついに道路の両側は商店街となり、アーケードが現れる。アーケード内は、7時から20時まで自動車の通行が禁止されている。ここは国道なのに、車は夜間しか通れないのだ。

 車をコインパーキングにとめて、徒歩でジンジャモール瓢箪山商店街を歩くと、入口には、歩行者及び自転車専用道路を示す道路標識が取り付けられていた。アーケードの中はいたって普通で、ただの商店街にしか見えない。ここが国道であることを除いては。

商店街の先には、見たことのない光景が!

 しばらく歩いてみると、アーケードが一旦途切れ、踏切が現れる。すぐ近くに近畿日本鉄道の瓢箪山駅があり、遮断機が下りると短時間で多くの人や自転車が滞留していく。踏切の先では、再びアーケードに突入する。こちらは、サンロード瓢箪山商店街だ。

 線路を挟んだ2つの商店街は、いずれも瓢箪山という地名が付けられている。その名にちなんで、瓢箪をあしらったデザインがあちらこちらに見られる。商店街は多くの人で賑わっていて、この時間、車ではとても走れそうにない。とはいえ、夜間は自動車が通るため、商店の間には速度制限を示す道路標識が顔を覗かせている。

 私は20時になるのを待ち、自動車で商店街に入ってみた。商店街の人通りに大きな変化はなく、相変わらず賑わっている。だがそこへ、正面からも、後ろからも、次々と車が進入してきた。往来するのは、車だけではない。多くの歩行者もいる。

予想外の面白さこそ酷道の魅力

 進むタイミングをうかがっていると、原付が車の間を縫うように爆走していった。歩行者、原付、自動車が入り乱れ、大変な状況になる。これは、山間部の酷道よりも走りにくい道かもしれない。そして恐らく、この時間帯が最も過酷を極めている。“酷道170号”の真骨頂は、20時過ぎにやってくるのだ。

 このように、酷道にも様々な“酷さ”と魅力がある。山村部の集落を貫く酷道では、地元の方にお話を伺ったり、偶然見つけた廃墟を覗いてみるなど、予想できない面白さもある。同じ酷道であっても、行く時間帯や季節によっても表情は異なる。落ちて死なないように注意は必要だが、たまにはバイパスをやめて酷道を走ってみると、思いがけない楽しさが待っている……かもしれない。

撮影=鹿取茂雄

(鹿取 茂雄)

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