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Friday, May 14, 2021

まん延防止適用、熊本知事「終わり見えない」長崎市長「どんな状態なら対象になるのか」 - 読売新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く熊本県に14日、「まん延防止等重点措置」の適用が決まった。この日の新規感染者は124人と過去最多を更新。熊本市の病床使用率は80%を超え、医療関係者は「ギリギリの状態だ」と警戒する。12日には福岡県に緊急事態宣言が発令されたほか、周辺の県でも感染拡大に歯止めがかかっておらず、九州各県が「第4波」沈静化への正念場を迎えている。

 「感染の拡大が続き、終わりが見えない。今が正念場なので、これを収束させることが私の使命だと思う」。14日、報道陣の取材に応じた熊本県の蒲島郁夫知事は、こう語った。

 同県では、直近1週間の累計感染者数(729人)が前週の約2倍に上る。感染経路不明の割合は直近1週間で51・4%となり、「第4波」で初めて5割を超えた。

 医療体制は急速に逼迫ひっぱくしている。4月14日時点で6・9%だった病床使用率は、5月14日時点で53・7%と、国の指標で最も深刻な「ステージ4」の水準に達した。熊本市に限れば81・6%に跳ね上がる。同県で感染者の入院調整を担当する坂上拓郎・熊本大病院教授は「熊本市内では、中等症以下の患者を市外の病院に搬送するケースが出ている」と危機感をあらわにした。

 九州各地の感染状況も深刻さを増している。重点措置の適用が見送られた長崎県では、長崎市を中心とした長崎医療圏で病床使用率が98・6%(11日時点)に達した。長崎市の田上富久市長は「この状態で重点措置の対象にならないのであれば、どういう状態になったら対象になるのか、というのが率直な気持ち」と強調した。

 大分県では14日、1日当たりの新規感染者が初めて100人を超えた。記者会見した大分県福祉保健部の藤内修二理事は「もはやどこに感染者がいてもおかしくない状況。変異ウイルスは少しの気の緩みでクラスター(感染集団)につながる。人と人の接触を減らすため、不要不急の外出は自粛してほしい」と訴えた。

 16日から6月13日まで重点措置が適用される熊本県は、すでに熊本市と福岡県境に近い6市町の飲食店に要請中の時短営業を県全域に拡大する。熊本市内については、酒類を終日提供しないよう求めることを検討している。

 熊本市の繁華街で和食料理店を営む男性(52)は「感染者を抑え込み、通常通り営業できるようにしてほしい」と話す。県の要請に応じて4月29日から時短営業を続けてきたが、16日からは休業を検討している。「酒類が提供できなければ開店しても損失が出る。常連客には申し訳ないが、閉めるしかない」と語った。

 熊本市の「酒湊さかそう」は4月以降、繁華街を中心に展開する居酒屋9店舗を休業している。同店も、酒類が提供できなければ売り上げの落ち込みは避けられないといい、代表の男性(44)は「このまま休業を続けざるを得ない」と漏らす。

 重点措置の適用で、新たに時短要請の対象となる県最南部の水俣市。焼き鳥店を営む男性(75)は「感染拡大は熊本市や県北部が中心だが、収束させるためには全域での要請も納得するしかない」と複雑な心境をのぞかせた。

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