政府が十八日、外国人の収容や送還のルールを見直す入管難民法改正案の成立を断念した。迫害を受けるトルコへの送還を懸念していた埼玉県内のクルド難民や支援者たちには安堵(あんど)が広がる一方、「これで終わりではない」と難民への対応や収容を巡る課題の改善を求める声も上がった。
「とりあえず良かった」。川口市に住む四十代のクルド人男性は短い言葉に喜びをにじませた。与党が採決を見送ったことを妻や息子たちに伝えると、安心した様子を見せたという。
改正案は難民認定申請中の送還停止規定を見直し、申請を三回以上すると相当な理由がない場合は送還を可能にするという内容。男性はこれまでに四回申請し、法案が成立すれば送還される可能性があった。
最も不安だったのが、わが子の将来だ。「息子たちはトルコ語で自分の名前も書けない。このまま日本で平和な暮らしをさせてあげたい」。そう願ってきた男性は「一日も早く家族みんなを難民と認めてほしい」と訴えた。
ただ、改正案が廃案になっても厳しい現実は変わらない。日本の難民認定率は先進諸国で突出して低く、クルド人は過去に一人も認定されていない。国連が批判する司法審査を経ない収容手続きや、上限がない収容期間については手付かずのままだ。
クルド人を長年支援する市民団体「クルドを知る会」の松沢秀延代表(73)は「廃案は当然だが、難民と認めない日本の実態は残っている。入管施設では外国人が何人も亡くなっており、扱いを是正していくべきだ」と求めた。 (近藤統義)
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