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(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)
欧州連合(EU)の立法府の一つに相当する欧州議会は5月19日、EUの執行部局である欧州委員会に対して、トルコとの加盟交渉を停止するように求める報告書を採択した。基本的人権と民主主義を普遍的な価値観として重視する欧州議会として、エルドアン大統領による権威主義的な政治運営は受け入れがたいというのがその理由である。
トルコはEUの加盟候補国である。つまり、EU加盟交渉に当たっては、2025年のEU加盟がほぼ決定的なセルビアやモンテネグロ、両国に後塵を拝するアルバニアと北マケドニアと同等のステージにある。トルコとEUの加盟交渉は2005年に始まったが、同時にスタートしたクロアチアが2013年に加盟を実現したのに対して、トルコとの交渉は一向に進んでいない。
これまでも欧州議会は欧州委員会に対し、過去3回(16年、17年、19年)、交渉の中断を求める決議を可決している。実際に欧州委員会がトルコとのEU加盟交渉を停止することはなかったが、加盟候補国に対して支払われる義援金を削減した。実態として加盟交渉が停滞している以上、加盟交渉の停止は現状の追認であると言えなくもない、
とはいえ、欧州委員会が加盟交渉を正式に停止することの政治的な意味合いは重い。トルコの地政学的、地経学(geoeconomics)的な重要性を考えれば、欧州委員会としてはトルコとの関係を文字通り「付かず離れず」としておきたいところだ。しかし、欧州委員会が加盟交渉を停止すると正式に決定してしまえば、トルコとの関係はもう一段階悪化が進むことになる。
からの記事と詳細 ( ただの茶番劇に終わりそうなトルコEU加盟の蜃気楼 加盟交渉の停止を求める欧州議会の圧力で崩れる微妙な均衡状態(1/4) - JBpress )
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