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Sunday, August 29, 2021

4Kで100fps超えを楽しめるゲーミングPC「G-Tune HP-Z」。Core i9と3080 Ti搭載でも音静か - PC Watch

フルタワーケースのメリットはあるのか?

G-Tune HP-Z

 マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」より、フルタワー型ゲーミングPC「G-Tune HP-Z」が発売された。本機は内部に余裕のあるフルタワー型ケースを採用したゲーミングPC。高性能なパーツを採用した高い性能に加え、電源周りや冷却の面でも贅沢な仕様で、安定性にも期待ができる。

 大型筐体のゲーミングPCは王道であり鉄板の製品ではあるが、果たしてフルタワーほどのサイズが必要だろうか、と感じる人も多いのではないだろうか。G-Tuneが本機にどんな思いを込めているのか、実機を触れつつ探っていきたい。

最新CPUとGPUを組み合わせたハイエンド機

 「G-Tune HP-Z」のスペックは下記の通り。

【表1】G-Tune HP-Z
CPU Core i9-11900K(8コア/16スレッド、3.5~5.3GHz)
チップセット Intel Z590
GPU GeForce RTX 3080 Ti(GDDR6X 12GB)
メモリ 32GB DDR4-3200(16GB×2)
SSD 1TB(M.2 NVMe)
HDD 4TB
光学ドライブ DVDスーパーマルチ(スロットイン式)
電源 1,200W(80PLUS Gold)
OS Windows 10 Home
汎用ポート USB 3.2 Type-C、USB 3.0×7、USB 2.0×4
カードスロット なし
映像出力 HDMI、DisplayPort×3
有線LAN 2.5Gigabit Ethernet
無線機能 なし
その他 音声入出力、S/PDIF端子など
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) 約215×490×481mm
重量 約18.6kg
税別価格 48万3,780円

 CPUはCore i9-11900K、GPUはGeForce RTX 3080 Tiという構成。GPUは上位にGeForce RTX 3090があるものの、最新パーツを組み合わせた、ほぼハイエンド機と言っていいだろう。

 メインメモリは32GB、SSDはM.2 NVMeの1TBで、ゲーミング用途としても十分。さらに4TBのHDDとDVDスーパーマルチも搭載しており、ストレージ周りは手厚い。有線LANは2.5GBASE-Tを採用しており、1Gbps超のインターネット回線を有効活用できる。

 電源は1,200Wと大容量で、80PLUS Goldの製品が使われている。またCPUクーラーには水冷を採用。ラジエータは360mmと大型で、TDPが125WのCore i9-11900Kを安定動作させるとともに静音化も期待できる。さらにカスタマイズで、より熱伝導率の高いグリスに変更も可能だ。

 価格は40万円超えとかなり高価だが、GeForce RTX 3080 Tiが単品で20万円前後という現状を考えれば致し方ない。なお9月1日までの期間限定で5万円引きになるサマーセールが実施されている。

4Kハイリフレッシュレートの最先端ゲーム環境も整う

 次は実機を使ってベンチマークテストを行なう。利用したのは、「PCMark 10 v2.1.2523」、「3DMark v2.19.7225」、「VRMark v1.3.2020」、「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」、「Cinebench R23」、「CrystalDiskMark 8.0.4」。

 なお今回の試用機に使われているパーツのうち、ビデオカードやストレージなどのようにスペックシートで明確に製品の指定がないものについては、実際の製品では異なるパーツが使用される場合もある。あらかじめご理解の上、ご覧いただきたい。

【表2】ベンチマークスコア
「PCMark 10 v2.1.2523」
PCMark 10 7,935
Essentials 10,799
Apps Start-up score 15,604
Video Conferencing Score 7,790
Web Browsing Score 10,362
Productivity 9,581
Spreadsheets Score 11,891
Writing Score 7,721
Digital Content Creation 13,107
Photo Editing Score 18,406
Rendering and Visualization Score 18,334
Video Editing Score 6,673
「3DMark v2.19.7225 - Time Spy」
Score 17,219
Graphics score 18,676
CPU score 12,137
「3DMark v2.19.7225 - Port Royal」
Score 12,697
「3DMark v2.19.7225 - Fire Strike」
Score 30,710
Graphics score 44,931
Physics score 28,206
Combined score 9,477
「3DMark v2.19.7225 - Wild Life」
Score 101,480
「3DMark v2.19.7225 - Night Raid」
Score 71,415
Graphics score 150,946
CPU score 17,918
「3DMark v2.19.7225 - CPU Profile」
Max threads 8,557
16 threads 8,539
8 threads 6,908
4 threads 3,878
2 threads 2,032
1-thread 1,046
「VRMark v1.3.2020 - Orange Room」
Score 15,534
Average frame rate 338.63fps
「VRMark v1.3.2020 - Cyan Room」
Score 18,664
Average frame rate 406.88fps
「VRMark v1.3.2020 - Blue Room」
Score 6,049
Average frame rate 131.87fps
「PHANTASY STAR ONLINE 2 NEW GENESIS Character Creator」(簡易設定6)
2,560×1,600ドット 12,730
1,920×1,080ドット 37,435
「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」(最高品質)
3,840×2,160ドット 15,465
1,920×1,080ドット 26,663
「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(高品質)
3,840×2,160ドット 7,962
1,920×1,080ドット 15,334
「Cinebench R23」
CPU(Multi Core) 14,832pts
CPU(Single Core) 1,622pts

 ゲーム系のベンチマークテストを見ると、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の4K(3,840×2,160ドット)で「快適」となったほかは、いずれも最高評価を叩きだした。「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」では、4Kでの平均フレームレートが約104fpsとなっており、軽めのゲームなら最近増えてきた4Kのハイリフレッシュレートディスプレイの利用も現実的なラインだ。

 第11世代Core採用のCPUも良好なスコアを出している。特にシングルスレッドは優秀で、最高5.3GHzまで上がるCore i9-11900Kの面目躍如と言える。ゲーム以外の用途にも活躍してくれそうだ。

 ストレージは、SSDはADATA製「SX6000PNP」、HDDはSeagate製「ST4000DM004」が使われていた。シーケンシャルリードで2GB/s強と、昨今のM.2 NVMe接続のSSDとしては控え目な値ながら、ランダムアクセスも十分に高速だ。なおカスタマイズでPCIe 4.0 x4接続のSamsung製SSD「SAMSUNG PM9A1」にも変更できる。

ADATA製SSD「SX6000PNP」
Seagate製HDD「ST4000DM004」

 また実際のゲームプレイのテストとして、「Fortnite」のバトルロイヤル1戦と、「Apex Legends」のチュートリアル1周を試した。計測にはNVIDIA FrameViewを使用し、フレームレートをチェックする。画質はいずれも最高設定。

【表3】ゲームのフレームレート
「Fortnite」
解像度 3,840×2,160 1,920×1,080
平均 92.888 222.154
下位90% 81.602 184.216
下位95% 78.147 172.897
下位99% 68.099 147.826
「Apex Legends」
解像度 3,840×2,160 1,920×1,080
平均 141.518 143.655
下位90% 120.652 122.581
下位95% 115.682 118.374
下位99% 108.172 113.859

 「Fortnite」では、4Kで平均93fps、下位99%でも60fpsを上回っている。4K/60fps環境であればパーフェクトなプレイ環境と言える。またフルHDであれば平均222fps、下位99%でも148fpsとなっており、ハイリフレッシュレートディスプレイを十分に活用できる。最高画質での話なので、さらにフレームレートを上げる設定も可能だ。

 「Apex Legends」では、解像度を問わず平均フレームレートが140fpsを超えており、ほとんどの場面でゲーム側のリミットである144fpsに当たっているのが分かる。下位99%でも100fpsを超えているので、4Kのハイリフレッシュレートディスプレイでのプレイが楽しめそうだ。ちなみにGPU使用率は4K時で84%、フルHD時は40%程度となっており、まだ余力があるのが分かる。

充実の冷却機構で低騒音

フロントパネルは黒と赤のツートンカラー

 続いて外観を見ていく。高さ481mmのフルタワーケースは、ほぼ全面がブラックで、前面右側の端子部に赤いプレートを配したワンポイントが特徴。フロントパネルは光沢があり、落ち着いた色味で高級感を出している。

 端子部は上から電源ボタン、電源ランプ、アクセスランプ、USB 3.0×2、マイク端子、ヘッドフォン端子、USB 2.0×2という並び。さらに下にはスロットイン式のDVDスーパーマルチドライブが縦向きに配置されている。そろそろ前面にUSB Type-C端子が欲しいところだが、背面に1つとなっている。

 側面は左右どちらにも上部にハニカム形状の穴が空けられており、どちらからでも空気が出入りできる状態。前面と天面には穴が見当たらない。底面はハニカム形状で大きく穴が空けられており、ホコリ避けのメッシュカバーがかぶせられている。このメッシュカバーは筐体の左下から引き出すように取り外して、簡単に掃除ができる。

 左サイドパネルを開くネジは背面ではなく、左側面の上部にある。ネジを外してパネルを開くと内部を見渡せる。ケース内部までしっかり黒で塗られている上、CPUクーラーやビデオカードも極力黒に統一されている。ちなみに本機はカスタマイズで左サイドパネルをスモークガラスに変更できる。

 内部を見て真っ先に目が行くのは、上部に取り付けられたラジエータと、横に並ぶ3基の12cmファン。スペック通りではあるが、かなりの威圧感があるサイズだ。ここまで巨大なものが必要かどうかはともかく、ケースのサイズに余裕があるからこそできる芸当ではある。

 エアフローは、背面の排気ファン1基とビデオカードが背面向きに排気。吸気ファンはなく、底面からの吸気になる。水冷ユニットで冷却するCPUを除くと、主な熱源はより底面に近いビデオカードとなるため、理にかなったエアフローだ。

 上部のCPU冷却用のラジエータは、右側面から吸気、左側面から排気の方向。ケースの左右上部に穴が空いているのは、このエアフローのためだ。なお排気の方向から考えて、設置場所は利用者の左側の方がいい。

 電源は左側面にファンが向いており、ラジエータとは逆方向に吸気する形になっている。可能であれば、上下逆に設置して右側面から吸気した方がいいように見える。

 ストレージはマザーボード上にあるヒートシンク付きのM.2 SSDだけが見える。右サイドパネルを開けると、バックパネル裏にHDDとDVDスーパーマルチが貼り付くような形で取り付けられている。とは言えマザーボードの裏にはならないよう位置がずらされており、熱への配慮も感じられる。

 空いているドライブベイは、左側面から2.5インチを貼り付け型で設置する場所が2つあるのみ。着脱しやすいトレイ式のドライブベイは一切なく、フルタワーケースの割にはストレージの追加スペースは少ない。特に3.5インチベイは1つだけで空きがないので、後々HDDを追加しようと思っている人は、2.5インチか外付けが前提になる。

 配線は左側面から見るととてもすっきりしている。余裕のあるスペースに甘えることなく、最短距離で裏面配線を通せるレイアウトを取っている。ビデオカードの周辺も余裕があり、見た目にも熱対策の安心感がある。

 ただ右側面から見ると、上部の巨大ラジエータの裏に電源があり、さらに各種配線を折り重ねて詰め込まれている。ラジエータ自体が十分に大きいので、エアフローを遮るものが少々あっても冷却性能に問題はないだろうが、せっかくプラグイン式電源を使っているのだから、もう少しスマートにまとめてほしい気はする。それ以外の部分は丁寧に配線されている。

左サイドパネルを開けたところ

 使用感としては、電源ボタンや端子類が前面右側に並んでいることから、左側に設置してある方が使いやすい。先述のエアフローの都合とも合っている。ただ右側に置きたい場合でも、格別使いにくいというわけではない。

 騒音は、アイドル時はファンがじわっと回る音がかすかに聞こえ、動いているのは分かる程度。筆者宅だと、エアコンがゆるく動いている音の方が大きいくらいだ。

 CPUの負荷が上がると、水冷の割にはすぐにファンの回転数が上がる。それでも音は低く小さいので、ゲームはもちろんオフィスワークで使っても気にならない程度。また長時間続けた場合も音の変化がほぼなく、巨大なラジエータの冷却力が見事に発揮されている。

 GPUも高負荷をかけるとファンの音がするものの、低めの風切り音で音量も小さく、騒音レベルとしてはCPUと同程度の印象。騒音回避のヘッドフォンなど全く不要で、深夜のゲームプレイも問題なさそうだ。トータルで見て、ゲーミングPCとしては相当に低騒音な部類と言える。パフォーマンスの高さを考えると驚異的なレベルだ。

大きな筐体は高性能と低騒音を両立させる

存在感のあるフルタワーケースのメリットはちゃんとある

 巨大なケースで余裕のある冷却力を持たせるのは、ゲーミングPCの基本だ。ただ最近はケースやパーツの冷却もよく考えられてきて、パーツは単体でも静かだし、ケースは小型でも上手くエアフローを作ってくれているものが多い。

 では定番のフルタワーゲーミングPCの価値はどこにあるのか。G-Tuneの答えは、ケースのサイズを活かした巨大なラジエータと、余裕のあるビデオカードの配置で、冷却力を過剰なまでに高めることで、高性能と低騒音を両立するということだ……と本機を使っていて感じられた。

 内部のエアフローや配線は、個人的にはもう少し頑張ってほしいと思うところもある。ただケースやラジエータは必要以上のサイズなので、実用上で問題になることはないだろう。後々何度も内部にアクセスするつもりならば気になるかもしれない、という程度だ。

 ハイエンドPCが欲しくて、置き場にも困らないのであれば、やはり筐体は大きい方がいい。コンパクトPCやノートPCもどんどん高性能になる中で、大型ゲーミングPCの立ち位置をきちんと示してくれる1台に仕上がっている。

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