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Friday, August 13, 2021

「戦後」体制の終わり 国際通貨研究所の行天名誉顧問―ニクソン・ショック50年 - 時事通信ニュース

2021年08月14日07時26分

インタビューに答える元財務官の行天豊雄氏=3日、東京都中央区

インタビューに答える元財務官の行天豊雄氏=3日、東京都中央区

 国際通貨研究所名誉顧問の行天豊雄元財務官(90)はインタビューで、ニクソン・ショックは第2次世界大戦後の世界経済にとって大きな転換点だったとの認識を示した。主なやりとりは次の通り。
 ―ニクソン・ショックの意義は。
 戦後がはっきりと終わった。ブレトンウッズ体制の下で世界経済は第2次世界大戦の破壊から立ち直った。しかし、米国(の国際収支)が赤字となって復興を支える制度なので無理があった。
 ―日本にとっても衝撃だった。
 輸出で生きていかねばならなかった日本は、為替リスクがないブレトンウッズ体制の大きな受益者だった。日本はぬるま湯に漬かっており、この体制が崩れれば厳しい時代になるという切迫感はあまりなかった。
 ―1973年には変動相場制に移行した。
 (為替相場が)乱高下するようになった。秩序のある変動にならないかという議論は今でもあるが、為替は経済以外にも政治や地政学など多くの要因で動き、人為的に安定させるのは難しい。ニクソン・ショックは相場の安定が終わった歴史的な出来事だった。
 ―金の裏付けがなくても通貨を発行できるようになり、マネーが膨張した側面がある。
 金融には実体経済をスムーズに動かす「公共財」の役割がある。しかし、80年代の終わりごろから金融資産の残高がどんどん増え、実体経済を振り回す「化け物」のようになった。デジタル革命や金融工学で新しい金融商品が作られ、バブルが起きやすくなった。
 ―中国が台頭している。ドルは今後も基軸通貨であり続けるか。
 ドルが基軸通貨になったのは、米国が(国際収支の)赤字を出して(ドルを)ばらまいたからだ。基軸通貨国は荷物を背負う。中国は人民元を周辺国との貿易や投融資で少しずつ広げていく作戦だ。実体経済に沿って利用が拡大していく余地はあるが、今突然ドルに代わることはあり得ないだろう。

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