最近のMax事情
でかいものはMaxだというのは、ドリフ世代のオジサン的には「ジャンボマックス」を思い浮かべるところだが、昨今のトレンドでは2018年9月に発売されたiPhone XS Maxからの流れだろう。その後12Max、13Maxと順調にMaxシリーズを追加してきているが、Amazon「Fire TV Stick」にもMaxが登場した。
そもそも小型化できたからStick状にしたんだと思うのだが、それをMax化するというのは一体どういうことなのかわけがわからないものの、10月7日から「Fire TV Stick 4K Max」が出荷された。製品が発表されたのは9月9日のことで、早速予約しておいたのだが、筆者宅には9日に到着した。
これまで筆者宅のAmazon Prime環境は、第三世代Fire TVで止まっていた。4K HDRには対応しており、Amazon Prime ビデオならDolby Atmosに対応しているのでそれほど不満はなかったのだが、どちらかと言えばNetflixのほうをよく視聴している。NetflixではDolby Atmos対応してなかったのが唯一の不満であった。
いつか新しいFire TVを購入してこの問題をクリアしようと思っていたのだが、ちょうど折も折、新Fire Stickが出るというので飛びついた次第である。価格は6,980円で、1世代前のFire TV Stick 4Kと同じ価格である。そうなると当然旧モデルとの入れ替えになることは十分考えられるわけで、現在Amazonではプライム会員限定でFire TV Stick 4KおよびFire TV Stickが最大50% OFFになるクーポンも配布されている。
大は小を兼ねるというわけで、今後Fire TV StickシリーズはひとまずMaxに集約されるのかもしれない。Fire TV Stickでは最高峰のMaxを、さっそく試してみよう。
確かにMax
ではまずパッケージの中身を確認しよう。パッケージは相変わらずコンパクトにまとまっており、本体とリモコン、延長ケーブル、充電機とケーブルで構成される。
本体サイズは、前モデルのFire TV Stick 4Kと同じ。4K非対応のFire TV Stickより1cmほど長い。本体脇にMicroUSB端子があり、ここから電源を供給する。付属ケーブルは1.5mと長めだ。本体はテレビのHDMI端子に直刺しになるが、テレビが壁掛けなどしてある場合は、電源までが遠い場合もある。だが1.5mあれば、まずまず対応できるだろう。
電源は所詮はUSBなので、テレビのHDD接続用端子としてUSBポートがあれば、ここから電源が取れる場合もある。接続してみて問題なく起動するか、テストしてみるといいだろう。
HDMIの延長ケーブルも付属する。これは長さを伸ばすのではなく、後ろに刺すとスティックがじゃまになる場合に、このケーブルを使って下に曲げるためのものだ。HDMI端子部を除いた本体の全長は約10cmあるので、背面スペースに余裕のないテレビや、背面が猫の通り道になっているというお宅では重宝するだろう。
リモコンは、前モデルから付属するようになった、第3世代リモコンが付属する。音声認識ボタンのデザインが変わり、4つのサービスへのダイレクトボタンが目を引くところだ。
以前のリモコンは赤外線コントロールがなかったが、この世代では前面に赤外線ポートが付いた。テレビ操作用に電源ボタンとボリュームボタンもあり、テレビの電源やボリュームもこのリモコンで操作できる。
なおこのリモコンは、アクセサリとして単体でも2,980円で販売されている。Fire TV Cube、Fire TV Stick 4K、Fire TV Stick(第3世代)、Fire TV Stick(第2世代)、Amazon Fire TV(第3世代)と互換性があるので、旧モデルをお使いの方でも利用できる。
スペック的には、前作Fire TV Stick 4Kとの違いはそれほど大きくないものの、細かいところでスペックアップを果たしている。
- | Fire TV Stick 4K | Fire TV Stick 4K Max |
SoC | MTK8695 + MT7668 | MT8696 |
CPU | クアッドコア 1.7GHz | クアッドコア 1.8GHz |
GPU | IMG GE8300 | IMG GE8300, 750MHz |
メモリ | 1.5GB DDR4 | 2GB |
ストレージ | 8GB | 8GB |
Wi-Fi | Wi-Fi 5 | Wi-Fi 6 |
Bluetooth | 4.2/5.0 BLE | 5.0 + LE |
OS | Fire OS 6 | Fire OS 7 |
重量 | 53.6g | 43.4g |
大きく違うところといえば、Wi-Fi 6に対応したことだろう。Wi-Fi 6は2019年に策定された規格で、対応ルーターはすでに同年からリリースされている。繋がる方の機器側も、同年発売のiPhone 11シリーズ以降で対応、もちろんPCも2019年以降のモデルは対応機種が多い。高速通信や同時接続に強いというメリットがあるが、一般家庭でも昨今は家族全員ネット経由で動画を見るというタイミングも増えている。すでにルータは導入しているという家庭もあるだろうが、通信負荷の高いFire TVが対応したのは大きい。
またOSのバージョンも上がっており、2020年発売の第3世代Fire TV Stickと同じFire OS 7になっている。「Fire TV Stick 4Kより40%パワフル」と言われているのは、この辺の違いがありそうだ。
40%パワフルは本当か
多くの人が気になるのは、新モデルが体感的に良くなったことが感じられるか、というところだろう。あいにく筆者は前モデルのFire TV Stick 4Kは持っていないが、その前の4K対応モデルFire TV 4Kがある。プロセッサなどの違いもあるところだが、Fire OSも一世代古い「6」なので、比較できるだろう。
まずUIで変わったところと言えば、ホーム画面の真ん中に表示される他サービスのリンクが増えた事だろう。今さら「prime video」が追加されたところはちょっと謎ではあるが、Amazon MusicやAmazon Photoがデフォルトで追加された。まあアプリは自分で追加すれば済む話ではあるが、ホームシアターシステムで音楽も聴きたいといった場合は、Amazon Musicにここからアクセスできるのは便利だ。
ホーム画面の動作も比較してみた。2つ並べて全く同じ操作を行なってみたが、作品のスクロールのレスポンスはそれほど変わらないようだ。旧モデルではサムネイル内の表示が若干追いついていない部分もあるが、普通メイン画面はどれを見ようか選びながら操作するので、こんなに高速にスクロールしないだろう。したがって実用上ではそれほど大きな差はないと言える。
一方作品を選んで再生が始まるまでの時間は、大幅に短縮されている。「最初から観る」を選んで実際に作品の表示が始まるまで、Maxはほぼ待ち時間なしだが、旧モデルではトータル6秒ぐらいの差が出る。「観る」と決めてからの6秒は長い。旧モデルでそこにイラついていた人は、買い換える価値はある。
一方他社サービス、例えばNetflixなどへのアクセスやレスポンスは、それほど大きな違いはなかった。自社サービスに対して、カリカリにチューニングできたという事だろう。
Echo Studioを足すとDolby Atmos対応に
筆者は2019年にEcho Studioを購入している。1台でステレオと3Dの音楽再生ができるほか、Fire TVと組み合わせると、DolbyAtmos対応スピーカーシステムにもなるのが利点だ。
ただ映像用のスピーカーとして利用する場合、どうしてもセンターに置かなければならないが、そうなると画面のじゃまになるという難点がある。テレビはテレビ台の上に、スピーカーは床置きに設置すれば1台で済むのだが、あいにく筆者は仕事机の上に全部置きたいのである。
そこが大きなネックになっていたわけだが、今年6月のプライムデーでEcho Studioが半額で売られているのを見つけたので、2台目を購入した。つまりEcho Studioをステレオペアにして左右に分ければ、真ん中に置かなくていいという発想である。それなら素直にサウンドバーを買えという話もあるが、音楽の再生クオリティも担保したかったので、こういう選択となった。
Fire TVシリーズとEchoを組み合わせるには、Alexaアプリを使用する。「デバイス」画面の右上「+」マークをタップすると、「スピーカーを構成」という選択肢が出てくる。それを選ぶと、「マルチルームミュージック」、「ホームシアター」、「ステレオペア/サブウーファー」という選択肢が出てくる。
Fire TVシリーズと組み合わせるには、「ホームシアター」を選択する。まず親機となるFire TVを選択する。
続いて接続するスピーカーを選択する。ここではL/R個別のEcho Studioを選択しているが、前もって2台をステレオペアにしている場合は、ステレオペアが選択肢に出てくるので、それを組み合わせればよい。ただし、Fire TVとEchoが同じネットワークに繋がっていないとリンクすることができないので、そのあたりは事前に環境を整えておこう。
あとは組み合わせたシステムに名前をつけて、どっちがLでどっちがRかをテストすれば完了である。
セットアップが完了すると、Fire TV画面側ではリモコンのアップデートが行なわれる。以降はリモコンのボリュームボタンで、Echo Studioのボリュームが操作できるようになる。
この組み合わせは、旧モデルのFire TV 4Kでも使用していた。その際には、Prime VideoではDolby Atmos対応にできていたものの、NetflixではどうやってもDolby Atmos対応にならなかった。
今回Maxとの組み合わせで確認してみたところ、Netflixでも無事Dolby Atmos対応で再生できることを確認した。
ただ、スピーカー上で本当にDolby Atmosで再生できているのかは、一聴してすぐに分かるというものでもなく、確認の手段がないのが正直なところだ。スピーカー側の再生ステータスを知る方法があればはっきりするのだが、現時点では「Dolby Atmosで鳴ってるはず」と信じて利用するしかない。
総論
前モデルから価格据え置きで発売されたFire TV Stick 4K Max。リモコンが新世代になった点や、NetflixでDolby Atmos対応になった点などを考えれば、Fire TV 4K以前の製品を持っている人にとってはアップグレードする価値はあるだろう。一方前モデルのFire TV Stick 4Kをお持ちの方には違いが少なく、積極的に買い換える理由はあまりないかもしれない。
現在Fire TVシリーズで価格的な最上位モデルはFire TV Cubeということになるだろうが、これは映像・音声のスペックが優れているというよりは、Fire TVとEchoのハイブリッドモデルのような立ち位置である。映像・音声面での最上位モデルは、現時点では今回のFire TV Stick 4K Maxという事になるだろう。
エントリーモデルとしてデビューしたスティックタイプが、そのまま発展してハイエンドになったというのもなんだかしっくりこない気がするが、やれることはすべてこのサイズに入ってしまったのなら仕方がないところである。
昨今はテレビ内に各ストリーミングサービスを内蔵するようになってきているが、テレビを買い替えるハードルに比べれば、Fire TVをどんどん新しいものに買い替えていくハードルはかなり低い。常に最新のサービスが1万円以下で受けられるデバイスと考えれば、安いものである。
こうして我々は、Amazonに巻き取られていくのだなぁ。
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