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Friday, October 8, 2021

人生の終わりに立つ父に教わったこと - 東亜日報


毎日、死を控えている患者の面倒を見るホスピス医師も、父親の死の前では悲しみの重さに耐え難い。著者はその経験を淡々と日記のように書き下ろす。

生涯、地域保健専門医として働いてきた著者の父親は、4期の末期ガンの診断を受け、娘と電話で話しながら、どうにか笑うことを見つけようとする。しかし、時間が経つほど末期ガン患者に奇跡は起きないだろうという死の恐怖が襲ってくる。

抗がん治療がこれ以上利かなくなると、父は最後の旅に出る。痛い体で家から1900キロも離れた所に運転して行くという父親を見て、著者は死が迫った瞬間にも自分に置かれた現在を忠実に生きる人間の驚くべき能力を見ることができる。毎瞬間を喜んで味わう時、普通の人生も偉大になる。

「残りの日々を『なんで私なんだろう?どうして私なの?』と文句を言いながら浪費するかもしれない。ところが、考えてみると、私は、いや、私たちは生まれたその瞬間から死んでいっている。しかし死の敷居を越える前まではまだ生きているじゃないか。だから私はただ黙々と私の人生を生きていく」

それでもガン細胞の貪欲な食欲は、防ぐことができない。衰弱していく父は世の中から離れていく。「いつも親切でなければならない」という遺言のような父の突然の言葉を聞いた瞬間、娘も悲しみを抑えきれず涙を流す。

父を送った後、著者は改めて気付く。終末に向かって走っていく瞬間、愛以外には何も重要ではないと。モルヒネと様々な薬物が苦痛を和らげるのに卓越な効果があっても、結局、重要な治療剤は人間的なつながりだと。

著者は、記者からホスピス専門医へ人生の進路を変える過程も書いた。父親だけでなく、他の患者たちをホスピスで面倒を見て治療しながら経験した感情も、率直に紹介している。何よりも、患者を治療するためには、最先端の医学技術よりも、患者が聞かせる話に治療の答えがあると強調する。

鄭盛澤 neone@donga.com

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