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Wednesday, June 1, 2022

「帝国」が崩壊して「冷戦」が終わる ロシアを突き動かした屈辱感 [ウクライナ情勢] - 朝日新聞デジタル

 ロシアのウクライナ侵攻を、「新冷戦の幕開け」など、これまでとは異なる時代の始まりと位置づける見解は、少なくありません。しかし、アジア太平洋の国際関係を専門とする菊池努・青山学院大学名誉教授(68)は、これを「ソ連が崩壊する過程の最終段階」、つまり「冷戦の終わり」だと考えています。その論拠を聴きました。(ロンドン=国末憲人

 ――ロシア軍のウクライナ侵攻については、「これまでとは違う時代の始まり」だと分析する論者が多いように思います。なぜ、これをむしろ「古い時代の終わり」と位置づけるのでしょうか。

きくち・つとむ 青山学院大学名誉教授。日本国際問題研究所上席客員研究員。1953年、群馬県生まれ。南山大教授などを経て、今春まで青山学院大教授。その間、副学長も務めた。専攻はアジア太平洋の国際関係。著書に「APEC アジア太平洋新秩序の模索」など。

名実ともに終わりを告げる「冷戦」

 今回の出来事は、ソ連という「帝国」が崩壊する最終段階にあたると考えるからです。「帝国」は、衰退する過程で様々な問題を引き起こします。第1次世界大戦前後までに「帝国」は世界の他の多くの地域で消え去りましたが、ソ連と中国は、その後も「帝国」の特徴を維持し続けてきました。

 歴史の大きな流れからみると、今回の侵略は、その帝国が崩壊する際にしばしば生じる、血なまぐさい事件の一つだと思います。それは同時に、「冷戦」が、名実ともに終わりを告げようとしていることも意味しています。

 ――冷戦が終わったのは、1989年にベルリンの壁が崩壊し、米ソ首脳が冷戦終結を宣言した時ではないのでしょうか。

 冷戦は、米ソが世界を巻き込…

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