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Monday, November 28, 2022

「一方通行は終わり」NFTで変わる顧客との関係、レトロバスも凸版も - 日経ビジネスオンライン

Web3がオンライン上に出現させる無数のつながりの場では、知らない人同士が共通の目的や利益を対等に分かち合う。ビジネスの世界でも顧客や他社との結びつきをより強めて一緒に何かを創り出そうと、新たな風が吹き始めている。

 映画「となりのトトロ」に出てくる「ネコバス」のような見た目の昭和レトロなボンネットバス。かつては路線バスとして日本中で活躍したが、元気に走る現存車体は数少ない。小田急グループの東海自動車(静岡県伊東市)が所有する1964年式の「伊豆の踊子号」は今も貸し切りやツアーで走る。1917年の設立から105年、伊豆の足として走り続ける同社の歴史を象徴する存在だ。

東海自動車のボンネットバス「伊豆の踊子号」。1964年式だがレストアして現役で走る。105年間、伊豆半島の移動を支えた同社のシンボル的な存在だ(写真:廣瀬 貴礼)

東海自動車のボンネットバス「伊豆の踊子号」。1964年式だがレストアして現役で走る。105年間、伊豆半島の移動を支えた同社のシンボル的な存在だ(写真:廣瀬 貴礼)

東海自動車は伊豆の踊子号などバスのイラストを一点物のNFTとして発行した。

東海自動車は伊豆の踊子号などバスのイラストを一点物のNFTとして発行した。

 「105年の歴史を永久的な証しとしてNFT(非代替性トークン)に残しましょう」。東海自動車は22年10月に、この伊豆の踊子号や過去に存在していたバスなどのイラスト10点を複製ができないNFTとして1点3000円で発行した。総務部の土屋知也氏が1年前、社内の新規事業募集に提案した。わざわざ同社のレトロバスを目当てに、伊豆地域を訪れる乗客もいる。こうした価値をIP(知的財産)ととらえ、NFTとして具現化しようとしたのだ。

乗り物好きのNFTユーザーに狙い

 土屋氏は「乗り物好きであり、かつNFTが好きな層」を戦略的なターゲットにして企画を練った。これまで東海自動車が重視してきたのは実際にバスを利用する乗客で、日々のバスの運行と直接つながりのないNFTユーザーをファンとして取り込もうという発想そのものがなかった。

 「管理や会計処理などリスクはないのか」「複製できないデジタルデータなんてあるのか」「バスの絵にお金を払う人がいるのか」審査通過後、社内で様々な疑問をぶつけられた。悩んだ土屋氏がWeb3のインフルエンサーにメールで相談すると、NFT事業のコンサルティング会社を紹介された。暗号資産を保管する財布「ウォレット」や会計処理などのシステムを委託することで、経営上のリスクを切り離した。

 土屋氏はチャットツールのディスコード内に東海バスのコミュニティーも開設した。「次は斜め45度のバスのNFTが欲しい」「バスツアーの活性化につながる何かをできないか」など意見も少しずつ出てきているが、まだ盛り上がっているとは言えない。「一過性で終わらせたくない」。土屋氏はファンとのつながりが熱量を高め、同社や地域の移動・観光の起爆剤になってくれることを期待している。

 目下、構想を温めているのが、「伊豆を周遊してもらう仕組み作り」だ。伊豆半島の観光スポットや飲食店などと連携してNFTを発行して周遊してもらえるような仕組みを作るなど、ビジョンは広がる。

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