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Tuesday, January 17, 2023

社説:人口減に転じた中国 右肩上がりの終わり象徴 - 毎日新聞

 中国の人口が61年ぶりに減少に転じた。急速な少子化に歯止めがかからない。14億人を擁する世界第2位の経済大国がかつてない岐路に立たされている。

 従来の予測より10年近く早く人口減時代に突入した。教育費や住宅費など子育て負担が重いためだとみられる。

 2015年まで40年近く続いた「一人っ子政策」の影響も大きい。現在は3人まで出産を認めているが、出生数は増えていない。

 国連推計によると、「人口世界一」の地位を既にインドに譲った可能性がある。

 経済発展をけん引してきた人口増の反転は、右肩上がりの時代の終わりを象徴している。

 潤沢な人的資源は「世界の工場」を支えてきた。国民生活の向上に伴い消費市場としての魅力も高まり、01年の世界貿易機関(WTO)加盟が後押しとなってグローバル化の恩恵を受けた。

 それが今、日本を上回るペースの少子高齢化によって、労働力の縮小や社会保障費の増大などの逆風にさらされようとしている。先進国と異なり、待ち受けるのは「未富先老(豊かになる前に老いる)」という難題だ。

 人口減少と軌を一にするように、経済も曲がり角を迎えている。

 かつて2桁成長が続いた経済の減速は鮮明だ。「ゼロコロナ」政策の影響で昨年の成長率は3%と、政府目標の「5・5%前後」を下回った。

 高度成長で覆い隠されてきた不動産バブルや貧富の格差など構造的な問題があらわになっている。人口減少によって内需や生産力がそがれ、こうした課題の解決が一層困難になる恐れがある。

 習近平指導部にとって経済の安定成長は共産党統治を支える生命線と言える。社会構造の変化に柔軟に対応し、質の高い発展モデルに転換できるかが問われている。

 ゼロコロナ政策では意思決定が硬直化して軌道修正が遅れた結果、社会・経済活動に大きな混乱を招いた。

 中国は世界の供給網の中心であり、日本を含む多数の国にとって最大の貿易相手国だ。習指導部は、グローバル経済への影響にも配慮して国のかじ取りにあたる必要がある。

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