七戸(青森)アーチェリー部のエース和田珠里(3年)は、喜怒哀楽をともにした仲間との集大成として県総体の代替大会(28日、新青森県運動公園)に挑む。

「先輩、同級生の優しさや努力する姿を見て、自分も頑張ろうと思えて、ここまで来られた。私たちの楽しく笑って協力しあえる力で点数を重ねて、一番最高の終わり方にしたい」。県の頂点に立ち、3年間の競技生活を完全燃焼させる。

今年3月の全国選抜大会(静岡)に個人戦出場権を得ていたがコロナ禍により中止。7月の全国総体(三重)も中止で、大舞台での活躍は戦わずして消えた。それでも困難を乗り越えた過程は誰もが認めている。七戸中バスケ部だった中2時、脳脊髄液減少症と診断され、3カ月以上学校に行けない時期が続いた。治療により現在は日常生活に支障はなくなったが、激しい運動は控えざるを得なかった。高校入学時に一目ぼれしたのが「真剣な姿が格好良かった」と言うアーチェリーだった。

初心者ながら1年秋の新人戦では個人戦で県3位。成績を落としてはいけない重圧から、以降の試合中に涙が止まらなくなったこともある。昨秋の県大会では団体戦で終盤まで4位。3位が条件の東北大会出場に向け、終盤の危機的状況で「落ち込んじゃダメ」と鼓舞し合えた心身の強さが成長の証しだ。

卒業後は看護師を目指し、文武両道も貫いてきた。自身が用具倉庫の鍵を管理して早朝から単独でも自主練習。約2時間半の部活動から帰宅後は、食事後に筋力トレーニング。午後9時半頃から勉強を始め、時には深夜や夜明けまで机に向かう日もあった。「腕で弓を引いているように見えて、実は背中の筋肉が重要なんです」と背筋を伸ばしてニコリ。入院中に寄り添ってくれた看護師のおばは、勉強も助言をくれる憧れの存在で「私も周りの人を笑顔にしたり、心の支えになれる看護師になりたいです」。まずは的の中心を射止めて仲間も笑顔にし、次の夢も射抜く。【鎌田直秀】