8月開幕の独自大会を待たず、一足早く引退した球児たちもいる。悩み抜いた末の決断だった。
甲子園での全国高校野球選手権大会と、代表校を決める愛媛大会の中止が決まって2日後の5月22日夕。松山城を仰ぎ見る城山公園の一角に、松山東高校(松山市)の3年生野球部員15人が顔をそろえた。
このまま野球を続けるかどうか、周りの意見に左右されず自分たちで決めよう。部員たちは公園の芝生の上に車座になり、1人ずつ、思いを打ち明けていった。新型コロナウイルスの感染拡大による長期休校が明け、部活動も再開されようとしていた。
松山東は藩校・明教館の流れをくむ。「野球(のぼーる)」の雅号もある俳人・正岡子規の母校で、野球部は松山商と統合していた1950年夏に全国制覇。2015年春には21世紀枠で82年ぶりに選抜に出場した。一方、県内有数の進学校でもある。
「進学のために勉強に集中したい」「甲子園が中止になってモチベーションが保てない」。はじめは「続けない」という意見が多かったが、反論もあって熱いやりとりになった。
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露口敦将主将(3年)は、仲間がばらばらになるのが怖かった。1年の時から同級生は1人も退部していない。「仲良くなりすぎず、言いたいことが言える関係を壊したくない」と思いつつ、議論を続けた。
多数決で「続けない」が11人、「続ける」が4人になった。「じゃあ、引退ってなるよな」。露口主将が言うと、空気が沈んだ。
また議論が始まり、今度は「続けたい」が多数を占めた。午後4時半に始まった話し合いは7時になっても結論が出ず、土日の2日間、各自でもう一度、じっくり考えることになった。
月曜日の朝、学校の室内練習場に再び集まると、すんなり「続ける」と決まった。「やっぱりみんなと白球を追いたい」。そんな意見が多かった。
ただし、受験勉強のことも考え、「7月上旬引退」と決めた。県高校野球連盟が検討していた8月の独自大会には、「参加しない」ことを確認した。
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6月末に坊っちゃんスタジアムであった「2020夏NEWS杯特別記念大会」。独自大会に出場しない3年生に花道をと、松山東、松山西、松山南、松山北の監督や部長らが企画した4校対抗戦が、引退の場になった。
投手の樋野塁君(3年)は、練習期間が短く、体力不足が心配だったが、「仲間と全力でやれたことが一番」と笑顔を見せた。捕手の渡辺滉矢君(3年)も「スタンドに小中学校の恩師らの姿が見えた。プレーで感謝の気持ちを表せたので、これで良かったと思った」と話した。
「3年生がやってきたことをひとつの作品として形にしたい」と臨んだ露口主将は、最後の松山西戦で生まれて初めて1試合3安打の“猛打賞”を記録。最高の締めくくりになった。
「みんなの心がひとつになった。混乱もあったけど、仲間と乗り越えて、良い関係のまま終われるのがうれしい」(天野光一)
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July 30, 2020 at 02:00PM
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球児たちが決めた「大会不参加」 一足早い夏の終わり - 朝日新聞デジタル
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