大飯原発3、4号機の設置許可取り消しを命じた4日の大阪地裁判決は、原発の耐震設計で目安にする揺れ「基準地震動」が「ばらつき」を考慮していないという一点を偏重し、国民生活やエネルギー政策に多大な影響をもたらす原発を稼働させないという重大な判断を下した。専門家が高度で総合的な判断をしている原発の安全審査に対し、短絡的といわざるを得ない。
同原発をめぐっては平成26年に福井地裁が運転差し止めを命じる判決を出した。だが、基準地震動の大きさが争点となった控訴審で、原告側は過小評価の可能性を主張したのに対し、30年の2審名古屋高裁金沢支部判決は「基準地震動が過小だとはいえない」と判断。1審判決を取り消して住民側の請求を棄却し、この判決は確定した。基準地震動については高裁レベルですでにお墨付きを得ているものだったのだ。
原発設置許可をめぐる司法判断の枠組みとされる平成4年の最高裁判決は「審査基準の不合理な点や、審議や判断の過程に看過しがたい過誤や欠落」が認められる場合に規制委の判断を違法といえると判示した。
判決は、規制委が内規の「審査ガイド」に記された検討を怠ったことを「看過しがたい過誤、欠落」としたが、国側は、地震を引き起こす断層の面積など別の指標を考慮していれば、ばらつきを考慮する必要はないとする専門家の知見に基づいて審査していた。さまざまな指標を科学的見地から複合的に考慮した上で許可を出した規制委の審査過程を、判決は事実上重視しておらず、疑問が残る。
(杉侑里香)
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