東京五輪・パラリンピックの開催まで32日。1年の延期を経て開幕する世界最大のスポーツの祭典には世界200以上の国と地域から1万人を超えるアスリートが集まる。アスリートが滞在する中央区晴海の選手村では、徹底した新型コロナウイルス感染対策を含め、急ピッチで受け入れ準備が進む。
変異株など新たなリスクが出現する度に最善と思われる感染対策を選手村に導入してきた。国内9都道府県に出されていた緊急事態宣言は解除されたが、8月半ばには再び感染状況が悪化するとの予測もある。大会運営局の山下聡局長は、「試行錯誤で進めてきた」とこれまでの準備を振り返り、今後も「状況が変わったときにはちゅうちょなく次のステップに進む」覚悟だと述べた。

選手村は7月7日に運営開始。13日には世界各国の選手が宿泊を開始し、この地を拠点に練習施設や試合会場に向かう(写真はベッドルームのレプリカ)
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

世界各国のアスリートが滞在する選手村は東京湾を一望できる立地に東京ドーム3個分の広さ。居住エリアには約3800戸に2-8人部屋合わせて1万8000ベッドが用意される。7月13日には選手の宿泊が始まる。パラリンピック終了後に部屋はリニューアルされ、分譲マンションとして購入者が入居する。
Source: Tokyo 2020

ベッドフレームは段ボール製で100%リサイクル可能。時差調整が必要な選手のために遮光カーテンの裾を床につく長さにするなど細かな配慮をした。3方を海に囲まれているため風通しが良く、どの部屋にも窓がある。組織委員会は30分に1回は換気するよう求めている。
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ベッドルームは共用スペースを取り囲む形で配置。選手村では公共の場でのアルコール摂取が禁じられるが、部屋では飛沫(ひまつ)感染に気を付けることを条件に飲酒できる。
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宿泊施設はすべてバリアフリー構造。トイレやシャワーは車いすの選手の使用を考慮した。部屋のクローゼットも車いすに座ったまま手が届く110センチメートルの高さ。廊下は幅を広くとってあり、大会後に分譲されたときベビーカー利用者にも優しい五輪レガシーとなる。
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選手村居住棟からメインダイニングホールを望む。敷地内にはフィットネスセンターのほか海に面した公園や散歩道もあり、選手村の外に出られない選手たちがくつろげるよう配慮した。
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ダイニングホールや居住棟には施設の混雑状況が表示される。選手村に設置された計36台のカメラが入場人数などをカウントし、リアルタイムで密の度合いを3段階表示する。大会関係者はアプリでも確認できる。
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メインダイニングホールは、当初用意していた4300席を3000席に減らした。選手たちは一人ずつアクリル板で仕切られた席で単独で食事し、30分程度で退席するよう求められる。開会9日目の朝食時にはすべての席が埋まることも予想される。24時間利用でき、20-30分ですべての空気が入れ替えられる換気システムを採用した。
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提供されるのは700種類のメニュー。世界各国の料理のほか、ベジタリアンやハラール、グルテンフリーにも対応する。バイキング形式だが、選手は調理場スタッフに食器を渡して料理を盛ってもらう。
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選手村の外に出られないアスリートたちに日本を感じてもらうため、カジュアルダイニングでは、お好み焼きやおにぎり、串焼きといった日常食で選手をもてなす。北海道から沖縄まで各地の食材が日替わりで出されるが、岩手・宮城・福島の被災3県の料理は震災復興について知ってもらうため毎日提供する。
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あらゆる施設の入り口に消毒液が置かれる。組織委は感染対策の重要性について毎日繰り返しルール周知をして協力を呼び掛ける。
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フィットネスセンターは、過去大会に比べて1.5倍から2倍近い面積の3000平方メートル。600のマシンはアクリル板で仕切られ、選手は利用する際もマスクの着用を義務付けられる。
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メディアセンターは居住区間とは離れた北東の角に配置。世界中から約6000のメディアパス保有者が訪れて競技後のインタビューなどを配信する。メディア関係者も厳格なルールの下での感染対策を求められる。
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選手村のメディア公開日。敷地外では五輪・パラリンピック開催反対の集会が行われた。朝日新聞が19-20日に実施した世論調査によると、五輪については34%が「今夏に開催」(前回5月調査14%)、32%が「中止」(43%)、30%が「再延期」(40%)と回答。前回に比べ今夏開催支持は増えている。
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競技会場や練習場には選手村を起点にした専用バスを利用する。トヨタ自動車の自動運転機能がついた電気自動車「e-Pallete」が選手の移動を助ける。
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選手村で新型コロナ対応を行う仮設医療施設は別棟。検査で陽性判定を受けた選手は外部の隔離用ホテルに移り、治療が必要な場合は自治体が調整した病院に入院する。
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感染症が疑われる患者の診療やPCR検査はガラス越しに行われる。選手には毎日の検査が義務付けられており、1日当たりの検体数は最大8万件となる。医療サービス部の宮本哲也部長は、「こんなに多くの検査を行うのは経験がない。いかに円滑にこなしていくのか大きな挑戦となる」と述べた。
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