先週、人類(ロシアの俳優、ディレクター陣)が新しいミッション(映画撮影)のため地球(バイコヌール宇宙基地)を出発し、宇宙(ISS)に到着しました!
少しばかり振り返ってみると、今年は人類初の宇宙旅行(米ヴァージン・ギャラクティック、ブルーオリジン、スペースXなど)で賑やかな1年にも思えますが、ロシアにとってはもはや何も目新しいことではなかったかもしれません。2001年には、露ロスコスモスが米ミリオネアーのデニス・チトー氏(このために2千万ドル出費)をISSに送還するのに成功。
そんな宇宙機関ロスコスモスは、今回「Vyzov」(英題:「Challenge」)という映画のシーンを撮影するためChannel One、Yellow, Black and White studioと協力してISSに映画製作チームを送り出しました。
モスクワ時間の10月5日午前11時55分、新型ロケット「ソユーズ-2.1a」でISSまで3時間17分の宇宙旅に飛び立ったのは女優のYulia Peresild氏(35歳)、ディレクターのKlim Shipenko氏(37歳)、そして宇宙飛行士のAnton Shkaplerov氏(49歳)。
Channel Oneでは 公式サイト、 YouTubeでライブストリーム動画を配信したので目撃者はおそらく多数。
宇宙飛行士のShkaplerov氏はExpedition 66のクルーと合流し、来年3月まで滞在予定。ディレクターのShipenko氏、女優のPeresild氏はISSに留まり、少なくとも12日間は滞在予定とのこと。地球帰還の(仮)日程は10月17日だそうです。
ちなみに女優のPeresild氏は、一般公募から選ばれし人物。身体検査、医療検査などを見事に通過したといいます。またバックアップとして女優のAlyona Mordovina氏もミッションに選抜されています。
映画内では、病を患った宇宙飛行士を救うために、約1カ月の準備期間しかないなかでISSに飛び立つ外科医のZhenyaを演じるとのこと。予定では合計で35〜40分の映像を撮ることを目指しているとのだとか。
ISSを舞台に映画撮影に臨むということは、宇宙空間のリアルさが捉えられること間違いなし。近いところでは、映画『アポロ13』で無重力状態のシーンを撮影するのに、NASAのKC-135の船体を使ったことがありました。このときは無重力状態が再現できるのが25秒に制限され、映像の撮影のために合計612回の飛行が行われ、もはや"嘔吐彗星"と言われるなど厳しい撮影環境でしたが、それと比べたら今回のISSでの撮影は同じような問題に悩まされることなく済みそうです。
ここ数カ月の間、撮影クルーはカザフスタンのバイコヌール宇宙基地にあるガガーリン宇宙飛行士訓練センターでトレーニングを積んだといいます。それはShipenko氏がTASSに語ったところによれば、「理論、実践、忍耐、スポーツなど、宇宙飛行士たちが何年もかけて学ぶ重要な要素を4カ月で習得する」ものだったとか。一人前の宇宙飛行士になることを目指したのではなく、宇宙飛行に参加するための準備をしたと語っています。
トレーニングの一環として、撮影クルーは新型ロケットのソユーズの設計やISSのロシア区画についても学んだといいます。着水のシミュレーションやzero-gでの無重力訓練など、緊急時に備えたトレーニングも受けたとのこと。Peresild氏は「こんなにもの準備が必要とは想定していなかった」と同取材に対し感想を述べています。
この映画撮影の最大の狙いは、「ロシアの宇宙活動の活性化」や「宇宙飛行士という職業を称えること」にあるようです。これに対して、なかには「ほかで活用できるはずのリソースを、このミッションに費やす必要はない」という意見も、ロシア人科学者や元宇宙飛行士などから散見されているとのこと。8月の時点ではプロデューサーらによる資金調達も行なわれていました。
もっと人類初の宇宙での映画撮影について知りたい方はこちら(New Cracks on ISS Expose Deteriorating State of Russian Segment)をどうぞ。
からの記事と詳細 ( 史上初の宇宙での映画撮影について知っておくべきことまとめ - GIZMODO JAPAN )
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科学&テクノロジー
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