<大相撲初場所>◇9日目◇16日◇東京・両国国技館
大関経験者で西十両12枚目の朝乃山(28=高砂)が初日から負けなしの9連勝とした。西十両8枚目の北の若(22=八角)を寄り切りで下した。
6日目以降単独トップを続け、十両優勝へひた走る。「自分より上背があり、まわしを取られたらやっかいだと思ったので、しっかり踏み込んで前に前に攻めれた」と振り返った。
止まらずに攻め続けた。朝乃山は立ち合いから前に出て右を差し、北の若のおっつけにも動じなかった。「止まったら不利だと思ったので前に前に」という意識で臨み、土俵際の逆転の投げにも警戒しながら、しっかり体を密着させて寄り切った。初日から9連勝にも「1日一番しっかり自分の相撲を取りきることだけ考えて土俵に上がっていますので、明日からまた切り替えたい」と語った。
前日には勝ち越しを決めて「いろんな支えてくださった方々から連絡をいただいた。勝ち越して終わりではないですし、まだ場所がありますし、切り替えて集中したい」と言った。十両土俵入りの際には初日から8日目までは富山後援会から贈られた剱岳が描かれた化粧まわしを着用していた、9日目のこの日からは東京富山県人会から贈られた立山連峰が描かれた化粧まわしを着けた。新十両に昇進した直後に贈られたもので、「東京にいる富山県出身者の方にも復活するまで応援していただいたので着けました」と説明した。
朝乃山は初日に貴健斗(常盤山)を下し、関取として599日ぶりの白星を挙げた。大関だった21年5月19日の夏場所11日目(隆の勝をすくい投げで退けた)以来となる勝利で、再十両を果たした場所で好スタートを切った。
勢いそのままに白星を重ねて序盤戦5戦全勝で終え、中盤戦に入った6日目に狼雅(二子山)を退けて単独トップに。7日目に島津海(放駒)、8日目に豪ノ山(武隈)を撃破し、十両復帰場所で初日から負けなしの8連勝とし、大関だった20年7月場所以来となる3度目のストレート給金を達成。十両で勝ち越すのは17年7月の名古屋場所以来、約5年半ぶりとなった。
「15日間相撲を取れることへの感謝を忘れない」との気持ちを持ちながら土俵に上がり、新しい顔ぶれがひしめく十両でも大関経験者としての実力を見せつけている。全勝または1敗での優勝なら十両1場所通過、来場所での幕内の可能性も十分ある。この勢いのまま、いまだ手にしていない十両優勝へ白星を積み重ねる。
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