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Tuesday, March 10, 2020

助かれば終わり、ではない 各地で災害の実態痛感 - 岐阜新聞

「過去の災害から現在を知って」と防災ワークショップで地域の災害写真を掲げる小山真紀准教授=今年2月、多治見市内

「過去の災害から現在を知って」と防災ワークショップで地域の災害写真を掲げる小山真紀准教授=今年2月、多治見市内

◆岐阜大の小山准教授「生活再建など想定し備えを」

 「なぜ、この災害で人が死ななければいけなかったのか」。全国の地震や風水害の被災地を訪れ、災害死の原因を探ってきた岐阜大流域圏科学研究センターの小山真紀准教授(47)=地域防災学=にとって、2011年の東日本大震災は自身の研究の転機だった。直接死だけでなく、関連死につながる避難の在り方や生活再建に目を向けるようになったという。「災害は起きてからでは多くの人を救えない。災害後の対応を含め、事前に仕組みづくりを」と力を込める。

 11年5月、岩手県大船渡市や陸前高田市で見たのは、街のすべてがなくなる津波の威力と、一方で被害を免れた地区との明確な差だった。「まるで線を引いたよう。これまで見た地震災害にはない光景だった」

 最初に犠牲者の位置情報から市町村別の死亡率分析に取り組んだ。被災3県の県警の安否確認情報を基に年代別にグラフ化すると、高台の有無などの地形条件の影響や、高齢者と乳幼児で顕著に高い死亡率が浮き彫りになった。

 「逃げられない人の避難をどう支援するか、若い世代ならば離れられない業務をどこで手放すか。事前に仕組み化する必要がある」と訴える。

 こうした研究に入るきっかけは、1995年の阪神淡路大震災だった。当時は大学生。神戸市の街に立ち上る煙のテレビ映像に衝撃を受けた。「私に何かできることはないか」

 防災システム研究のゼミで学び、「死傷につながる要因を明らかにすれば死者を減らせる」と方策を探った。鳥取県西部地震(2000年)、中越地震(04年)、九州北部豪雨(17年)、西日本豪雨(18年)と大規模災害が起きるごとに現地に足を運んでいる。

 だが、東日本大震災の被災地で街ごと造り直すような復興の過程を見て、「災害は助かれば終わりではない」と考えるように。

 京都府で原発事故の避難者の心の健康調査を手掛け、18年の関市上之保地区などの豪雨災害では、被災者訪問調査に関わった。被害の差や不安が人の心をかき乱す実態を痛感し、「そうなることを前提とした支援」の必要性を説く。

 いま、この地域で視野にあるのは、南海トラフ地震や大規模水害、中山間地の土砂災害。公助が追いつかない事態を想定し、一人一人の備え、そして地域の防災リーダーを育てることが減災の鍵を握るとみる。

 岐阜県と岐阜大が設立した「清流の国ぎふ防災・減災センター」の公開講座「げんさい楽座」や、防災リーダー養成の「げんさい未来塾」、災害写真を囲んで地域防災を考える「災害アーカイブぎふ」-。自身が関わる事業で地域の防災意識の高まりに期待する。

 「災害は起きるもの。いざ起きた時に後悔しないよう、みんなが自分ごととしてその時に何が起きるか、何ができるのかを考える必要がある」と呼び掛ける。


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