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Thursday, November 4, 2021

神戸5人殺傷、被告に無罪判決 刑事責任能力認めない判断 神戸地裁 - 朝日新聞デジタル

岩本修弥

 神戸市北区の住宅地で2017年、親族や近隣住民ら3人を殺害し、2人に重傷を負わせたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職竹島叶実(かなみ)被告(30)に対し、神戸地裁裁判員裁判)は4日、無罪(求刑無期懲役)を言い渡した。

 飯島健太郎裁判長は、犯行時の被告について「妄想などの精神症状の圧倒的影響下にあった疑いを払拭(ふっしょく)できない」と指摘し、「(刑事責任能力が認められない)心神喪失状態にあったとの合理的疑いが残る」と述べた。

 刑事責任能力は善悪の判断や行動を制御する能力のこと。刑法39条は、この能力が著しく減退した「心神耗弱」なら刑を軽くし、能力がない「心神喪失」は罰しないと定めている。

 公判では、被告の殺傷行為に争いはなく、検察、弁護側双方とも、被告が「哲学的ゾンビ」を殺せば知人女性と結婚できる、という妄想を抱いていたという点でも一致した。刑事責任能力が争われた。

 神戸地検は起訴前に2度、被告の鑑定留置を求め、医師2人に精神鑑定を頼んだ。1人目の医師は、被告が「哲学的ゾンビ」を人ではないと思っていたため、「人を殺してはいけない」という規範に直面していなかったと分析。2人目の医師は、被告には妄想を疑う気持ちがあり、精神状態の悪化は「中等度」にとどまると判断した。

 検察側は2人目の見解に基づいて被告を起訴したが、判決は1人目の医師が11回の面接を行う一方、2人目は被告が面接を拒んだため5分程度の面会が1回あるだけで、「信用性を認めることはできない」とした。

 被告は17年7月16日、自宅で同居していた祖母の南部観雪(みゆき)さん(当時83)と祖父の達夫さん(同)を金属バットで殴るなどして殺害し、母親(57)にも重傷を負わせたうえ、近くの民家敷地にいた辻やゑ子さん(当時79)を包丁で刺殺。さらに近所の女性(69)にも重傷を負わせたとして起訴された。

 犯罪白書によると、心神喪失を理由に一審で無罪になったのは、18年が6人、19年が2人という。(岩本修弥)

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岩本修弥

 神戸市北区の住宅地で2017年、親族や近隣住民ら3人を殺害し、2人に重傷を負わせたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた無職竹島叶実(かなみ)被告(30)に対し、神戸地裁裁判員裁判)は4日、無罪(求刑無期懲役)を言い渡した。

 飯島健太郎裁判長は、犯行時の被告について「妄想などの精神症状の圧倒的影響下にあった疑いを払拭(ふっしょく)できない」と指摘し、「(刑事責任能力が認められない)心神喪失状態にあったとの合理的疑いが残る」と述べた。

 刑事責任能力は善悪の判断や行動を制御する能力のこと。刑法39条は、この能力が著しく減退した「心神耗弱」なら刑を軽くし、能力がない「心神喪失」は罰しないと定めている。

 公判では、被告の殺傷行為に争いはなく、検察、弁護側双方とも、被告が「哲学的ゾンビ」を殺せば知人女性と結婚できる、という妄想を抱いていたという点でも一致した。刑事責任能力が争われた。

 神戸地検は起訴前に2度、被告の鑑定留置を求め、医師2人に精神鑑定を頼んだ。1人目の医師は、被告が「哲学的ゾンビ」を人ではないと思っていたため、「人を殺してはいけない」という規範に直面していなかったと分析。2人目の医師は、被告には妄想を疑う気持ちがあり、精神状態の悪化は「中等度」にとどまると判断した。

 検察側は2人目の見解に基づいて被告を起訴したが、判決は1人目の医師が11回の面接を行う一方、2人目は被告が面接を拒んだため5分程度の面会が1回あるだけで、「信用性を認めることはできない」とした。

 被告は17年7月16日、自宅で同居していた祖母の南部観雪(みゆき)さん(当時83)と祖父の達夫さん(同)を金属バットで殴るなどして殺害し、母親(57)にも重傷を負わせたうえ、近くの民家敷地にいた辻やゑ子さん(当時79)を包丁で刺殺。さらに近所の女性(69)にも重傷を負わせたとして起訴された。

 犯罪白書によると、心神喪失を理由に一審で無罪になったのは、18年が6人、19年が2人という。(岩本修弥)

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