浦和ユース出身の関根は宇賀神との交代時に、「こらえきれない部分があった」と涙
浦和レッズは12月19日に行われた天皇杯決勝で大分トリニータに2-1の勝利を収め、3大会ぶりの優勝を果たした。世代交代の過渡期の中で3シーズンぶりに主要タイトルを獲得し、来季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権を手にしたことについて、MF関根貴大は「終わりでもあり、始まりでもある」と表現した。 【写真】「ビジュアルが素晴らしい」 浦和のファン・サポーターが作り上げた珠玉のコレオグラフィー 浦和は前半にFW江坂任のゴールで先制すると、そのまま逃げ切りを狙ったが後半45分に追いつかれた。しかし、延長戦突入目前の同アディショナルタイムに決勝ゴール。それを決めたのは、今季限りでの契約満了が決まっているDF槙野智章だった。 また、準決勝では同じく契約満了が決まっているDF宇賀神友弥が決勝ゴール。この決勝戦でも途中出場するなど、戦力としても数えられるなかでも変革を進めていく姿勢が明らかになっている。 その宇賀神と交代で退いた関根は交代時に涙も見せ、「タイトルが獲れるかもしれないからとか、そういうものではなく、僕自身すごくお世話になっていた選手がたくさんいる。その選手とやるのが最後だったので、こらえきれない部分がありました」とその思いを語った。2014年にユースから昇格し、一時は欧州移籍したが、19年夏に再加入した関根は、来季以降に対しては楽観するばかりでない思いを語っている。 「たくさんの選手が出ていくので、想像しているよりも来年は厳しくなると感じていて。僕たちがやるしかない。先輩たちがどれだけのことをやってきたかを見てきたので。そこに負けないくらい自分たちも強いチームを作りたい。(優勝は)終わりでもあり始まりでもある。僕たちの世代が積み上げる一歩にもなるだろうし、今まで浦和のために戦ってくれた選手の最後のタイトルでもあるので、いろいろな意味があると思う。(ACLは)槙野くんが残してくれたもの。失うものはないので、またアジアで戦っていきたい」
守護神・西川は年長者としてチームをまとめる役割を継続
2019年末に3年計画を打ち出し、今季で2シーズン目が終わる浦和だが、その間に30代半ばで12年以降のミハイロ・ペトロヴィッチ監督時代、あるいは17年のACL制覇で主力だった選手たちが次々にチームを去っている。その世代の中でチームに残るGK西川周作には、違った意味での役割も多く残る。 「試合が始まる前も退団する選手が決まっているなかで戦うのは感情も難しかった。準決勝と同様に頼もしい仲間がいてくれるのは大きかったし、サポーターの後押しがそういう感情も吹っ飛ばしてくれた。準決勝ではウガ(宇賀神)、決勝ではマキ(槙野)、これまでレッズを支えてくれた2人が結果を出してくれて、来季の僕たちにACLの切符を残してくれた。喜びを分かち合いたいし、残された僕らは浦和の責任を背負って戦っていかなければいけない」 西川は今季、ユースから昇格したばかりだが才能に満ちあふれたGK鈴木彩艶と現実的なレギュラー争いとなり、6月頃にはリーグ戦の出場から離れた時期もある。それについて「今までに経験のないシーズンだった。最終的にピッチの上で戦い続けられて、浦和レッズにタイトルももたらせた。良いことも悔しいこともあったけど、最後に笑って終われたのは良かった」と話した。来季もまた、簡単に出場が約束されているわけではない。それでも、チームをまとめていく年長者としての仕事はそこにある。 ペトロヴィッチ監督の時代から少し混乱した時期を経て、3年計画のスタートと今季から就任のリカルド・ロドリゲス監督との戦いまで、その時期を知る西川と関根は一気に陣容が入れ替わりつつあるチームの中でも、その存在の重要性や責任は増すだろう。3年計画の集大成となる来季、チームを引っ張る、あるいはまとめることが求められると言えそうだ。
轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada
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