新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)について世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は先月、「終息が視野に入った」と発言しました。その一方で、わが国では今冬の“第8波”の到来が専門家から危惧されています。感染拡大の「終わり」は見えないのか、東邦大学の舘田一博教授に聞きました。
■Q 世界の感染者は減っているが
■A 海外は自然感染で免疫獲得。日本はワクチン接種が効果
――国内外の感染者数や死者数が減少傾向にありますが。
日本と比べて海外では、新型コロナに自然感染した人の数が圧倒的に多く、多数の人が亡くなった一方、免疫を獲得した人が少なくありません。変異株も含めて繰り返し感染し、強い免疫を持つ人も増えています。欧米諸国で現在、感染拡大の波が抑えられているのも、そうした理由が一つに考えられます。
従来、欧米と比べて感染者数が少なかった日本では、第7波で1日の感染者数が26万人を超えるなど、これまでにない拡大が見られました。
しかし、3、4回目のワクチン接種の推進や、飲み薬など治療薬の効果により、感染者数が減少に転じ、重症化率を下げ、この波を乗り越えつつあると認識しています。
――「終わり」が見えてきたということでしょうか。
既に欧米などでは、日常的にマスクの着用を求めないなど、感染対策の緩和が進んでいるのが実情です。
ただ、日本では、ワクチン接種や国民一人一人の感染対策の徹底によって、自然感染や死亡者数を抑えてきただけに、強い免疫を持つ人の割合は少ないと考えられます。
そのため、ウイルスが広がりやすい今冬に、次の第8波が起こる懸念があり、備えが欠かせません。
■Q わが国の第8波の見通しは?
■A 7波より多くなる見込み。インフル同時流行も懸念
――感染対策緩和の見通しはどうでしょうか。
コロナの死亡率が0.1%程度に抑えられている中で、基本的な感染対策はしながらも、経済活動を再開させていくことは非常に重要です。第7波では、緊急事態宣言など厳しい行動制限を伴わずに乗り越えつつあります。この経験を、今後に生かす必要があります。
ただ、多くの専門家が指摘するように、第8波による感染者数は、第7波よりもかなり多くなると見込まれます。11月以降、インフルエンザとの同時流行も懸念されており、今冬には1日当たり30万~50万人の発熱者が出る可能性もあります。
マスク着用などの感染対策の緩和については、この第8波を乗り越えた後に、段階的に少しずつ進めていくべきです。コロナの感染症法上の分類を現在の「2類相当」から、季節性インフルエンザ並みの「5類」へ見直す議論も、そのタイミングで進めることが望まれます。
――今月11日から入国者の水際対策の緩和が進んでいますが。
現在、感染状況が落ち着いている国からの入国は感染拡大に大きな影響を与えるとは思われません。その上で、海外での新たな変異株の流行などのリスクが生じた場合、検査の強化や入国の禁止など柔軟な対応をする必要はあります。
■Q 経済活動と両立の鍵は?
■A 医療提供体制さらに整備。検査と治療薬の普及必要
――第8波を乗り越え、経済活動と両立させていくための鍵は。
第7波では一部の地域で医療が逼迫し、高齢者など、重症化リスクの高い人らが亡くなりました。この反省を踏まえ、医療提供体制のさらなる整備と検査・治療薬の有効活用が求められます。
例えば、政府は13日、インフルエンザとの同時流行に備え、発熱外来での診察を重症化リスクの高い人に限定し、リスクの低い人にはコロナの抗原検査キットで自主検査を促し、陽性なら自宅療養してもらう対応策を発表しました。妥当な措置と考えます。
検査の強化も急務です。コロナとインフルエンザを同時に判定できる検査キットが今後、市販化されれば、同時流行時でも多くの感染者が正しい診断を受けられます。
治療薬については開発中の国産経口薬「ゾコーバ」が承認されれば、重症化リスクの低い人も使える初の薬になります。開業医が処方できるようになれば、5類への見直しの好材料になります。
――コロナワクチン接種のあり方は。
ワクチンは重症化などを防ぐ重要な予防策の一つです。コロナウイルスは変異し、人に常に感染し続けます。今後、変異株の動向を見ながら、1年に1、2回は接種するものになるのか、考える必要があります。
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