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Thursday, November 17, 2022

Jアラートを国会に設置する意味とは 続く北朝鮮のミサイル発射に「着弾したら終わり」の声も:東京新聞 TOKYO Web - 東京新聞

衆院本会議場。矢印部分にあるスピーカーから、Jアラートの音声を流すという

衆院本会議場。矢印部分にあるスピーカーから、Jアラートの音声を流すという

 北朝鮮のミサイル発射が続いた今月初め、衆議院が全国瞬時警報システム(Jアラート)の受信設備を設置することを決めた。日本中で鳴り響き、国民に避難を促してきたシステムだが、国権の最高機関にはなかったのだという。発出の遅れが問題になり、改修が検討されているJアラートは、実効性に疑問を抱かせる点も少なくない。これで危機は防げるのか。(特別報道部・大杉はるか、西田直晃)

◆本会議中に発出なら休憩とし避難

 「そうなの?知らなかった。っていうか、今までなかったのか」

 17日午後の衆院本会議場前。自民党の閣僚経験者にJアラート受信機設置が決まったことについて聞くと、驚いた表情を見せた。

 受信機設置は、今月4日の衆院議院運営委員会の理事会で決まった。本年度内の設置を目指しており、本会議場などの衆院内や隣接する衆院議員会館のスピーカーを通じ、警報が鳴るようにする。参院にもまだ付いておらず、今後検討されるとみられる。

 Jアラートには携帯電話の緊急速報メールもあるが、衆院警務部の担当者は「院内などには議員以外の参観者の来訪もある。全員が携帯を持っているとは限らない」と説明する。ちなみに発出された場合は、警備を担当する衛視が窓から離れるよう誘導。本会議中なら休憩とし、避難することになるという。

◆「最重要施設にJアラートがないって…」

 ネット上では「国の最重要施設にJアラートがないってどういうこと」と驚く声もあれば、「携帯で受信できるから無駄な工事では」「国会に受信機がないということは、意味ないってことか」と効果を疑問視する人も。会議中に居眠りしている議員のことを指してか、「国会にはJアラートよりJアラームだ」という投稿もあった。

 当の議員の反応はどうか。前出の閣僚経験者は「第一報を早くすることが大切。Jアラートのシステム改修も急いだ方がいい」と話す。本会議に向かっていた公明党の議員も「国会は安全な所だと思われているし、もちろん設置すべきだ。霞が関全体にも入れた方がいい」と語った。

 一方、自民党の別の議員は「そもそもどういう音が鳴るのかよく分からない」と戸惑う。廊下を歩いていた立憲民主党の議員は「国会に着弾したら終わり。Jアラートだけ鳴っているなんてことになるかも」と話した。

◆北朝鮮のミサイル発射で導入再浮上

 警務部によると、Jアラートは運用開始以降、国会議事堂のエリアが対象になったことはない。衆院への導入は、17年に北朝鮮のミサイル発射が頻繁にあった際にも検討された。ただその後、ミサイル発射が減ったため、決定には至らなかったという。

 今年は発射頻度が上がっていることから再浮上。自民会派が提案し、立憲民主、維新、公明の理事会派も賛成した。自民の理事は取材に対し「千代田区の防災無線でJアラートを受けて院内に流すこともできるが、何分か遅れることになる」と導入の必要性を強調する。立民の理事は「理事会でJアラートの問題は指摘した。国会への設置までに5カ月はかかる。その間に政府でJアラートのシステム改修を進めるべきだ。設置はいいが、米朝交渉を進めることが大事で、日朝もやるべきだ」と話す。

 議運委理事会でも発言した共産党の塩川鉄也議員は「まずJアラートシステムの検証が先。さらにミサイルの上空通過時に落下物など、どういった危険性があるのか説明がなく、不安だけあおっている」と指摘。「そもそも外交努力が重要。例えば北朝鮮に影響力がある中国に働きかけるべきでは」と強調した。

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