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Tuesday, February 28, 2023

iPhone 14 Pro長期使用レビュー「祭りの終わりと、新時代」 - GIZMODO JAPAN

「スマホの進化が停滞している」って本当?

というか、そもそも「スマートフォンの進化」って具体的には何を指すのでしょう。

ちょっと考えてみたところ、それは主に以下の5点ではないかと思いました。「進化」を大きく体感できる順に並べてみます。

1.インターフェース
例:ガラケーやBlackberryからマルチタッチスクリーンへの進化、iPhone Xでのホームボタンの廃止など

2.画面
例:iPhone 4でのRetinaディスプレイ搭載、画面の大型化、液晶→有機EL、XDR対応など

3.カメラ
例:レンズ構成のアップデート、センサーの大型化、処理エンジンの性能アップなど

4.処理スピード
例:CPUの性能アップ、メモリの大容量化、ニューラルエンジンの搭載など

5.バッテリー
例:バッテリー容量の増大、CPUやOSとの組み合わせによる改善など

まず、インターフェースの変化はそうそう起こるものではないですし、毎年コロコロ変わってもユーザーは置いてけぼりになってしまいます。続いて画面の進化もそろそろ限界というか、人間の目の限界もあって違いが分かりづらくなってきていますよね。

では、各種スマホメーカーが現在どうしているのかといえば、SNSでの画像や動画の需要増への対応も含めて「カメラ性能の向上」を優先しながら、処理スピードとバッテリーライフ向上に取り組んでいるわけですね。

以上の考察を前提として、ほぼ毎年iPhoneを買い替えているヘビーユーザー目線から、iPhone 14 Proの5ヶ月間長期使用レビューをしたいと思います。

iPhoneが仕事道具なら、iPhone 14 Proを買っていいかも

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結論から言えば、iPhone 14 Proは新要素とブラッシュアップのバランスが良い、総じて満足度の高いiPhoneです。仕事や趣味においてiPhone活用シーンが多い人ならば、直近のiPhone 13 Proからのアップデートだとしても満足できるでしょう。

主によかった点は次の4点。

スピード感ある動作
カメラのアップデート
Dynamic Island
ディープパープルの仕上げ

そう、最初に提示した「スマートフォンの進化」ポイントのうち、インターフェース、カメラ、処理スピードの3つがここに入っているんです。とくに近年進歩のないインターフェースがここに入ってきたのは、iPhone 14 Proを語る上で欠かせないポイントかと思います。

で、イマイチだったのが次の1点。

  • 画面常時表示によるバッテリーライフ短縮

スマートフォン進化ポイント残りの1つが、イマイチだった点に入ってきました。iPhone 13 Proのお気に入りポイントだっただけに、この停滞というか後退は残念なところ。

やっぱり、先述した「スマートフォンの進化」ポイント5つをいかに満たすかが、スマホ評価の基準になりそうな気がしてきました。

では、それぞれのポイントを詳しく解説していきます。

GOODその1:スピード感ある処理速度

毎年iPhoneを新機種にするたび思うことですが、やっぱり最新機種は速い。

直近1モデル前の機種と比べても、体感で違いがわかります。

「スマホに処理速度を求めない」という方も少なくないでしょう。でも、1日の中でスマホに触る時間が長ければ長いほど、ちょっとした動作速度が影響してくるので、仕事や趣味でどれほどスマホを使うかで判断したいポイントかもしれません。

僕の用途では、アプリの起動のようなちょっとした動作はもちろんですが、写真のRAW現像やVSCOでの調整、あとはちょっとした動画編集ではその恩恵を強く実感します。

GOODその2:カメラのアップデート

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Photo: 照沼健太

「iPhoneの進化=カメラの進化」となりつつありますが、iPhone 14 Proでは従来の1200万画素から4800万画素への大幅なアップデートが行われました。

これによって大きく変わったのはトリミング耐性。「広めに撮影しておいて、後から大胆にトリミング」はもちろん、「拡大して擬似マクロ撮影」なんて使い方も可能です。ただ、1倍カメラが寄れなくなったのは残念。「マクロモードの画質じゃなく、1倍カメラの画質でもっと寄りたい!」と感じるシーンは非常に多いですね。

また画作りも、いかにもスマホ的なものではなく、使いやすい写真を出してくれるようになった印象です。iPhone 12 Proでコンピュテーショナルフォトが全面導入&Apple ProRAW撮影が可能となり、iPhone 13 Proではそれらがブラッシュアップされて実用域に入った印象でしたが、14 Proでも着実に進化しています。

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Photo: 照沼健太

そのおかげか、RAW撮影を基本としながらも、インスタストーリーズ用の写真などはポートレートモードを多用することが増えました。

GOODその3:Dynamic Island

これまでの画面上部についていた切り欠き、通称「ノッチ」に変わり、今回から新搭載されたUI「Dynamic Island」。

当初は「インカメラ群をごまかすアイディア」程度に思っていましたが、使ってみるとこれが結構便利なんですよね。

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Image: 照沼健太

Apple MusicやAudibleなどのメディア再生中に他のアプリを操作すると、上の画像のように再生ステータスがDynamic Islandへとコンパクトに収納されます。これが便利。

真ん中にカメラやセンサーがあるので画面表示自体は狭く情報量も少ないのですが、このエリアがボタンになることで、ワンタップで再生アプリに戻れるようになるんですよ。

はい、たしかに地味です。でも、日常的に繰り返す地味な動作だからこそ、トータルでのインパクトは小さくありません。

つまり、Dynamic Islandって実質的には、MacやPCのマルチタスク/マルチウインドウ表示なんだと思います。

正直、アップルもサードパーティもまだまだDynamic Island使いこなせているとは言い難い気がしますが、それでも現状すでに便利さを実感しているので、今後にさらに期待したいところです。

GOODその4:ディープパープルの仕上げ

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Photo: 照沼健太

先述の「スマートフォンの進化」ポイント5つに入っていない項目がこちらです。

「本体の組み立て精度」「仕上げ」「素材」は、トータルして進化ポイントに入れてもいいかもしれないと思いつつ、ファッショントレンドに近い部分もあるので一旦除外しました。

でも、とにかくiPhone 14 Proは新色ディープパープルがとても良かったんですよ。

何がいいかと言うと「飽きない仕上げ」。スマホって1年や2年は毎日使うものなので、飽きてしまいがちじゃないですか?

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Photo: 照沼健太

しかし、このディープパープルは見る角度や照明によって印象が変わるので、ふとした瞬間に新鮮さを感じるんです。まるで黒や濃紺のように見えるときもあれば、パステルカラーの紫やピンクかと思うときも。

SDGsが重要視され、同じプロダクトを長く使うことが奨励されつつある今、この色味は非常に良いアイディアじゃないかと思いました。

BAD:画面常時表示によるバッテリーライフ短縮

みなさんモバイルバッテリー使ってますか?

僕はもうiPhone 12 Proの時代からほとんど使っていません。とくにiPhone 13 Proのバッテリーライフはすばらしく、携帯することすらなくなっています。旅行時やイベントなどで一日中アウトドア状態のときに念の為アップル純正「MagSafeバッテリーパック」 を持ち出すくらいですね。

そんな感じで年々iPhoneのバッテリーライフ改善の恩恵を感じていたここ数年ですが、iPhone 14 Proは停滞あるいは一歩後退した印象です。

その最大の理由が、iPhone 14 Proのセールスポイント「画面常時表示」。これの影響だと思うのですが、あきらかに短くなったと感じます。

というか、そもそも画面常時表示にまったくメリットが感じられません。卓上時計として使いたい人にはいいのかもしれませんが、「スマホが視界に入っているだけで集中力が下がる」なんて学術研究もあるくらいですし、スマホ中毒予防の点でもデメリットだと思います。

僕はすぐに画面常時表示をOFFにしました。

「新しいスマホを買うのが娯楽」時代は終わり、次の時代が始まっていく

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Photo: 照沼健太

以上、iPhone 14 Proの長期使用レビューをお届けしました。

歴代最高のiPhoneとしてとても満足していますが、ワクワクしたかというと正直それはありません。やっぱり日本で最初にリリースされたiPhone 3G、Retinaディスプレイと両面ガラス筐体が衝撃的だったiPhone 4、歴代ベストデザインだと思うジェットブラックをラインナップしていたiPhone 7 、ホームボタンを排したiPhone Xなんかと比べると、全然です。でも、それも当然だと思います。

もはやスマートフォンが現代人の生活必需品であることに疑いの余地はありません

でも、昔はそうじゃなかったんですよね。かつてスマートフォンは新しいカテゴリの製品であり、未知のガジェットでした。初期のiPhoneって、アプリのインストールも、コピペもできなかったし、ちょっと触ってるとすぐ再起動してたくらいですからね。

そんな未完成なカテゴリにいろんな機能が追加されては取捨選択され、成熟するにつれて、われわれの生活に欠かせない「スマホ」という概念が出来上がっていったわけです。

そりゃその過程はエキサイティングですし、ワクワクしますよ。だから、スマホを購入して触ること自体が「娯楽」として成立していたんです。

でも、いまやスマートフォンはインフラとなりました。僕はスマホの“停滞”ってやつを嘆くより、今に至る道のりだったあの時代を「あー楽しかった!」といい思い出にしたいと思います。

大丈夫。新しくて楽しいことは、次々と始まっていますから。

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