Pages

Saturday, June 20, 2020

自動車用鋼板のチャレンジに終わりはない | 東京製鉄・西本利一 - 週刊東洋経済プラス

高炉に負けない品質で自動車向けを拡大する意欲を示した西本社長

日本の鉄鋼業界ではメインプレーヤーである鉄鉱石から鉄を作り出す高炉メーカーの経営が危機を迎えている。コロナ前から世界の鉄鋼需要が落ち込んでいるにもかかわらず、中国の生産拡大で原材料が高止まりする、「市況安・原料高」に苦しんでいるからだ。コロナ禍で鉄鋼需要がさらに縮小し、日本製鉄やJEFホールディングスは国内生産体制の縮小を余儀なくされている。

一方、電気炉でスクラップを溶かして鉄を作り出す電炉メーカーは、原料のスクラップ市況が鉄鋼製品市況以上に低下しており、利益を確保できている。この先の電炉業界の展望をどう見据えているのか。独立系で国内電炉トップ、東京製鉄の西本利一社長に聞いた。

──市況動向もあり、高炉不利、電炉有利となっています。こうした構図は定着するのでしょうか。

電炉有利ではない。むしろこれまでは電炉不利の時代が長かった。

2000年代中頃の中国バブル(中国需要の爆発的な増加)の初期は良かったが、後半は電炉が不利になった。スクラップが高く、高炉の原料(鉄鉱石や原料炭)が安かった。2010年前後にアジアで多くの電炉が立ち上がったが、ほとんど休止に追い込まれた。当社が孤軍奮闘しているくらいだ。

一方、世界に目を向けるとアメリカはすでに(鉄鋼生産における)電炉の比率が70%近い。ニューコア、スチールダイナミクス、ビッグ・リバー・スチールといろんな会社がある。

こうした電炉会社の躍進は鋼板に進出したことだ。電炉といえば棒鋼だったところから、(建築、土木に使う)H形鋼、さらに鋼板を作った。日本もそうならざるをえない。

──しかし、日本は電炉比率が20%台。依然として高炉中心です。

日本も粗鋼の内需が年間8000万トンあれば高炉中心でかまわない。(実際は)内需が縮小していく中で高炉は輸出に頼ったわけだが、外需依存で産業を成り立たせるのは難しい。特に鉄鋼は国の基幹産業であり、新興国が成長しようとするとまず鉄鋼業を育成するからだ。

わざわざブラジルやオーストラリアから鉄鉱石や原料炭を持ってきて、日本で鋼材を作って輸出する必要はない。需要国で作ってもらえばいい、という当たり前のことに(高炉が)気がつかれた。

先日、日本製鉄やJFEホールディングスが国内生産体制の再編、高炉の休止に踏み出されたのは自然なことだ。彼らも遅かったと思っているのではないか。

──高炉は地域の経済や雇用を支えているため、リストラは簡単ではありません。

会社の規模は違うが、当社では私の代だけでもスクラップ&ビルドは相当やった。高松工場を閉鎖したし、岡山では一部ラインを休止した。一方、新しい設備も立ち上げた。田原工場(愛知県)は厳しいリーマンショック後に立ち上げた(2009年11月)から大変だった。

自動車用の鋼板は電炉にとって有望な市場

──日本で電炉がシェアを拡大するには何が必要ですか。

スクラップからリサイクルできる品種の高度化だ。それを国内で消費していきたい。

電炉製品が主力である建築用鋼材の需要は先が見えている。丸棒もH形鋼もそうだ。H形鋼では国内トップシェアだが、市場が拡大することはない。一方、鋼板はわれわれの生産規模からみると十二分に市場が大きい。(競争の激しい)レッドか(競争が少ない)ブルーかはわからないが、オーシャン(大きな市場)であることは間違いない。

日本ではスクラップが有効活用されずに輸出されている。そうしたスクラップを鋼材に活用できるのが、自動車用の熱延鋼板だ。先代社長の時代から挑戦を続けてきた。あきらめず、将来はここを拡大していきたい。

──アメリカでは自動車用鋼板にも電炉の製品が使われているのですか。

アメリカでも自動車用は電炉製品がまだ少ない。高炉にとって最後の聖域だ。

ただ、鋼板需要のすそ野は広く、エネルギー用の設備などにたくさん使われている。だが、少しずつ電炉製品も自動車用に入っており、さらに電炉各社がすごい投資をしている。

──なぜ電炉に自動車用は難しいのでしょうか。

まずは技術的な問題点。自動車用で求められる化成処理という分野で苦労している。日本の自動車メーカーと鉄鋼メーカーは長年技術開発で基準を作ってきた。

Let's block ads! (Why?)



"終わり" - Google ニュース
June 21, 2020 at 03:20AM
https://ift.tt/2YhSE03

自動車用鋼板のチャレンジに終わりはない | 東京製鉄・西本利一 - 週刊東洋経済プラス
"終わり" - Google ニュース
https://ift.tt/2SxfvAZ
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update

No comments:

Post a Comment