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Wednesday, August 5, 2020

1日の終わりと始まりに体重を測って、自分という存在を「見える化」する|暮らしの中に終わりと始まりをつくる|一田憲子 - gentosha.jp

「暮らしのおへそ」「大人になったら、着たい服」の編集ディレクターであり、『丁寧に暮らしている暇はないけれど。』『面倒くさい日も、おいしく食べたい!』『大人になってやめたこと』などの著者である一田憲子さんの最新作が『暮らしの中に終わりと始まりをつくる』です。

コロナウイルスの影響で生活スタイルが変わり、家事や掃除のやり方について改めて考えた方も多いのではないでしょうか。本書では、数多の暮らし上手な人を取材し続けてきた一田さんが実践している、生活をリセットしていく小さな習慣をたくさんご紹介しています。

未曽有の状況でまだまだ不安定な日々ですが、本書で自宅時間を少しでも発見のあるものにして頂けたら幸いです。

夜、お風呂から上がった後と、朝、お風呂掃除を終えた後に素っ裸になって体重計に乗ります。同じような毎日を送っているのに、驚くほど数字が変化するから不思議。ちょっと外食が続いたり、甘いものや炭水化物を取りすぎたり、ちゃんと便通がなかったりすると、途端に1~2キロ増えてしまいます。「あれ? 昨日何を食べたっけ?」。足元の数字を眺めながら、昨日を振り返ることもしょっちゅう。

朝は夜より1キロぐらい減るのが、ちゃんと新陳代謝ができている証し。数年前に、フィットネスジムでマシーントレーニングをしていた頃は、なんとこの数字が逆転しました。朝になると体重が増えているのです。慌ててトレーナーに聞いてみたら、運動をして筋肉量が増えるからなのだとか。きちんと筋肉がつくと、代謝力がアップしてある時期からスルスルと体重が減っていきました。

自分の体の中で何が起こっているかが、体重という数字に表れる……。これって面白いことだなあといつも思います。確かに自分の体なのに、フタを開けて中身を見ることはできません。それを知る目安になるのが体重だというわけです。数字を見ながら「これはいかん!」と、軽めの食事にしたり、スーパーで苺大福を見かけても「がまん、がまん……」と買うのをやめたり。朝晩の体重測定は、その日の行動の小さな指針にもなります。

「自分」というわけのわからない存在を、数字によって見える化する。それは、なかなか有効な方法だと思います。みんな自分のことはなかなかわからないもの。大胆なんだけれど傷つきやすい。大雑把なんだけれど、あるところだけは繊細。相反するものを併せ持ち、昨日と今日、1年前と今では考え方も気持ちも刻々と変わります。「私っていったい何者なんだろう?」といくら考えても答えにたどり着きません。

そんな中で、唯一頼りになるのが、自分を測る数字。それは体重だけでなく、たとえば、「この仕事をするのにどれぐらいかかるだろう?」という「日数」や「時間」だったり、「1か月の食費はどれぐらい必要かな?」という「金額」だったり、「今、持っている服の数はどれぐらいだろう?」という「枚数」だったり……。たかが「数字」ですが、いつもの仕事にかかる時間を実際に測ってみたり、どんぶり勘定だった家計の中で、食費だけを記録してみたり、クローゼットの服の数を数えてみたら……。

1~2時間で終わると思っていたのに、実際には4時間もかかっていたんだ! とか、こんなに食費にお金を使っていたなんて! など、びっくりするような事実が判明します。

さらに、そんな事実から、自分の癖が把握できたり、考え方の傾向が見えてきたり。どうやら「数字」は思っていた以上に雄弁なよう。

「自分」というものを、冷静に客観視する機会はそうそうありません。「自分を知りたい」と思ったら、考えていることを書き出したり、心を穏やかにして瞑想してみたり……とつい「見えないこと」にフォーカスしがち。それはそれでとても大切な時間だとは思うけれど、時には「嘘をつかない数字」で、無情に自分をジャッジしてみるのもなかなか効果的。

体重計に乗ると、右足と左足の親指の先に、液晶ディスプレイの数字が表れます。1日の始まりと終わりに私が測っているのは、私の暮らしそのものなのかもしれません。

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August 06, 2020 at 04:05AM
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