地元の子どもたちに奄美の自然の魅力を伝える奄美大島エコツアーガイド連絡協議会長の喜島浩介さん(左)=3月、奄美大島の金作原国有林
「ようやく世界に価値が認められた。身が引き締まる」
奄美大島で約40年、希少野生生物の調査や保護活動を続ける自然写真家の常田守さん(67)=奄美市名瀬=は喜んだ。
「自然を守ることが島の未来につながる」が信念。1995年の「奄美・自然の権利訴訟」では、法廷でアマミヤマシギの立場を代弁した。環境省の自然公園指導員として山中のパトロールも約20年担う。講演会や写真展など啓発活動にも力を入れてきた。
17、19年のIUCN現地調査では案内役を務めた。「最初は外来種対策などを指摘されが、2度目は手応えがあった」と振り返る。「登録後は世界に対し、自然を守る責任が生まれる。保護活動に終わりはない」
ツアーガイドを育成する奄美大島エコツアーガイド連絡協議会長の喜島浩介さん(70)=龍郷町幾里=は「認知度が飛躍的に高まり、世界から自然観光の島に足を運んでもらうきっかけになる」と期待する。
20年余り前、地元のリゾートホテル勤務時代に、客に森を案内するため独学で動植物を学んだ。「こんなに身近に希少生物がいる」と奄美の自然の貴重さに気づいた。
以来、「自然保護が観光の礎」をモットーに活動する。金作原国有林の利用ルールや認定ガイドの制度創設にも関係機関と協力して取り組んだ。「奄美に屋久杉のような派手さはないだけに、ガイドの力が問われる。魅力発信には全体のレベルアップが必要」と課題を挙げた。
地元では、経済効果への期待も高まる。「待ち望んでいた。追い風になる」。名瀬でホテルを経営する向井純一さん(44)は歓迎する。
世界遺産登録を見据え、18年に貸別荘と短期賃貸マンションを建設、レンタカー事業も始めた。しかし、登録延期勧告に加え、新型コロナも重なりこの半年は赤字が続く。
向井さんは「島内の観光関係者はどこも苦しいだろうが、登録勧告で光が見えた。新型コロナ収束後、観光客増加の起爆剤になってほしい」と願った。
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