
宮脇稜平
東日本大震災後に一度上向いた岩手県内のアワビの漁獲量が、近年大きく減っている。震災から3年間、稚貝の放流がほぼできなかったことに加え、最近はエサになる海藻がなくなる「磯焼け」に見舞われているためで、国や県は藻場の保全を図るなどの対策を進めている。
大船渡市にある県栽培漁業協会で5月上旬、アワビの稚貝の出荷作業があった。水槽で1年かけて卵から約2・5センチの大きさまで育てた稚貝計約281万個を県内17漁協へ出荷。各漁協が海に放流する。
県内のアワビ漁をめぐっては、震災の津波で沿岸部にあった稚貝生産施設の多くが全壊。2014年度まで稚貝をほとんど出荷できない状態になった。
そのため国は12年度から、稚貝生産施設の整備費などの補助を開始。県内の施設の復旧がおおむね完了した16年度からは、県内産の稚貝の購入費などとして、毎年1億5千万円前後を補助してきた。
稚貝は3~5年かけて収穫できる大きさに成長する。震災時の津波で生まれたばかりの天然の稚貝が流されたうえ、11~13年度は稚貝を生産できなかったため、15年ごろから漁獲量が減少。農林水産省によると、09年に約500トンあったが、19年には約150トンまで落ち込んだ。
さらに、ここ数年の不漁の要因と考えられるのが「磯焼け」だ。
県水産技術センターによると、海水温が上がって活動が活発になったウニが、アワビのえさになるコンブの芽を食べてしまっているという。
県水産振興課の担当者は「稚貝を放流しても育たない状況がある」と指摘。「藻場がなければアワビは育たず、水揚げ量も伸びない」と話す。
そこで県は支援の内容を震災復旧からアワビの生育環境の回復へと転換。国と協議して稚貝の購入費補助を昨年度で終える一方、今年3月には藻場を保全する計画を立てた。
今後は、ウニが近づきにくい流れの速い海域に海藻を生やすためブロックを設置するなどし、藻場の回復を図るという。
県水産振興課の担当者は「ウニを減らしつつコンブが育つ環境を整え、アワビの漁獲量回復を図りたい」と話す。(宮脇稜平)
からの記事と詳細 ( アワビの漁獲遠い回復 助成金終わり磯焼けも 岩手 - 朝日新聞デジタル )
https://ift.tt/3itUKV8
No comments:
Post a Comment