記録を止めた! 楽天辰己涼介外野手(25)が、2点を追う4回無死二、三塁で、右翼へ2点適時打を放った。それまで32イニング無失点を続けていた西武投手陣の“盾”を、バットで打ち破った。チームを勢いに乗せ、この回一挙5得点で逆転。勝利へ導いた。

辰己が1球で仕留めた。西武のドラフト1位ルーキー隅田との初対戦。情報が少ない中、初球の外角131キロカットボールを迷わず引っ張った。「すぐ終わりました」。初見の変化球をはじき返す電光石火の攻撃で、先発涌井を援護した。

チームは前日に完封負け。この日の1回も1死満塁のチャンスを生かせなかった。2回に2点を先制され、どことなく嫌な雰囲気が流れる中での打席。無失点を続ける西武投手陣についても「気にしていなかった」と平常心を貫いた。

開幕へ向けて調整をしていた3月11日、遠征先の静岡で、下半身のコンディション不良により離脱。開幕4戦目の同29日オリックス戦から出場選手登録された。打率はこの日の試合前時点で1割9分6厘。リーグ最少試合数ながら最多の得点と好調の打線の中で、乗り切れずにいた。石井GM兼監督も、個人名こそ挙げなかったが「若い選手がもうちょっと。試合に出ているので一生懸命やっているとは思うが、チームを代表して出ている。逆に言うと、出ていない人もいる。出ていない人の分まで思い切ってやってくれていればいいんですけど、なかなか元気がない」とハッパをかけていた。

ようやく出た結果。辰己は「これからもチームを引っ張るバットマンとしてしっかりと機能していきたいと思います」と闘志を燃やす。1番西川、3番浅村、4番島内が安定。5番マルモレホスも快音が出てきた。さらに「背番号8」に勢いが出てくれば-。最強犬鷲打線が止まらなくなる。【湯本勝大】