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Friday, July 14, 2023

キャリートレード好機の終わり近いとの懸念強まる、政策転換を警戒 - ブルームバーグ

キャリートレードは2023年の最もホットな投資手法の一つだが、これを実践している世界のトレーダーの間では、取引が頓挫するのではないかとの不安感が高まっている。

  日本銀行が金融政策をタカ派的な方向に転換することで人気の資金調達通貨である円相場が押し上げられるリスクから、米連邦準備制度が利上げで米経済を景気後退に導くという債券市場の シグナルに至るまで、投資家の間では有利な低ボラティリティ-の取引環境が最終段階にあるのではないかとの懸念が高まっている。

  低金利の国・地域の通貨で資金を借り入れ、利回りの高い新興国通貨を中心に投資する戦略にとって、大きな相場変動が再び起こることは致命的となり得る。

  ドイツ銀行やDBS銀行などのストラテジストはキャリートレードの状況を一変させるようなリスクに留意している。ブルームバーグの集計によると、キャリートレードに関する一つの平均的な指標では上期に5%の利益をもたらしたが、使用する通貨ペア次第では約40%のリターンを得る可能性が示された。

Best First Half Since 2017

An index measuring carry-trade returns from eight EMs climbs

Source: Bloomberg

  DBSのストラテジスト、チャン・ウェイ・リアン氏によれば、 インフレシナリオの逆転がそうしたリスクの一つ。為替変動率の上昇につながるからだ。

  チャン氏は13日、「インフレ圧力が収まる中で連邦準備制度は利上げをほぼ終えている。一方、日本ではインフレの兆しが見られ、日銀が政策を微調整する可能性がある」と指摘。「ドル・円ロングのようなキャリートレードは、一般的に想定されている政策トレンドが予想外に反転した場合、脱線しやすい」と分析した。

  今週の円高進行は、キャリー取引に関連した利益確定売りや、インフレ圧力の高まりに直面する日銀が今月中に政策を微調整する可能性に対するヘッジと絡んでいる。

  ジェフリーズのストラテジスト、ブラッド・ベクテル氏は、「金利市場のボラティリティーの高まりが、広範なリスクセンチメントの幾らかの落ち込みと重なり、キャリートレードは手じまいされつつある」と指摘した。

VIXが引き金も

  そうしたトリガーについて考えているのはDBSだけではない。ドイツ銀行は、為替キャリートレードの持続的な巻き戻しを招く最も可能性が高い引き金の一つとして、米国株の予想変動率を指数化したVIX指数の急伸を挙げている。株式市場で予想されている経済のソフトランディング(軟着陸)シナリオに疑問が生じた場合、VIXは急騰する恐れがある。

  ロヒニ・グローバー氏ら同行ストラテジストは最近のリポートで、「最近の米PMI低下に反映されている経済成長の減速は為替のボラティリティーを押し上げるはずだ。しかし、株式ボラティリティ-が非常に低い水準にあることが、そうした悪化を相殺し、為替ボラティリティーを抑えている」と分析した。

  ANZの為替調査責任者マハジャビーン・ザマン氏は、経済活動の鈍化がドル・円に影響を与えることを懸念している。それは米金融政策が緩和的な方向に転じて日米金利差が縮小した場合に起こり得る。

  「最も顕著なキャリートレードの一つであるドル・円のロングは、金利差が焦点でなくなれば、大きく巻き戻される可能性がある」と同氏は今月のインタビューで語った。

EM Carry Returns Have Beaten Developed Peers This Year

 

原題: Carry Traders Fret That Good Times May Be Closer to an End(抜粋)

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